遠く、どこまでも遠くへ
久住子乃江
第1話
元カノをテレビで見るようになってから三日が経った。
俺は心にポッカリと穴が開いた状態だ。大好きだった彼女がどこか遠くへ行ってしまったのだから。当分俺の空虚な心は満たされることもないのだろう。次の恋に踏み出すことなんて到底できなかった。
電気も点けていない部屋には、テレビから流れ出てくる音だけが響いた。
テレビで名前を聞くたびに、少しの安心感が生まれると同時に、まだまだ彼女との思い出も蘇ってくる。もう忘れたい。彼女との思い出は全て忘れたいのに、俺の意思に反して思い出というのは湧き出てくるのだ。
彼女と出会ったのは、合コンだった。俺はそろそろ結婚を考える時期に差し掛かっていて、彼女もいなければ、女友達すらいない。出会いを求めて、合コンにはよく足を運んでいたが、見た目のいい男たちにしか女性陣は食いつかない。デブとまでは言わないが、少しぽっちゃり体型の俺はいつも蚊帳の外だった。
あの日も特に期待はしていなかった。俺みたいな奴に興味を示す人なんて誰一人としていないと思っていた。いつも通り、無駄な時間を過ごして終わると思っていた。けれど、その日は違った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます