【第一章】 第九話

俺たちは職員室に入り、サッカー部の顧問の武井先生の元へと向かった。そして、俺たち三人が並んで、サッカー部の本入部届を渡した。


「確かに受け付けた」


と、仏頂面で武井先生は言った。仮入部期間の一週間で分かったが、武井先生はかなりの堅物で真面目な人だ。サッカー部での練習の時も最初の紅白戦以外の時は基礎に重きを置いている。

そして、それは武井先生自身もそうだ。職員室の他の先生の机は書類が山積みになっていたり、何かをやりっぱなしにしていたりしているのに対して、武井先生の机はかなり整えられており、理想的ともいえる机だった。


だからこそ、問いかけたい。俺は二人よりも一歩前に出た。


「武井先生。サッカー部について、一つ質問よろしいですか」


「なんだ」


「何故、サッカー部の二、三年生は数名辞めたんですか。もしかして、最近サッカー部の先輩たちが外周を走っていることと関係があるんですか?」


俺はそう問いかけると、武井先生は俺たちの本入部届を机の上に置いた。


「その問いの答えは今、はっきりとは答えられない。しかし、今日の放課後の練習ではっきりとわかる」


「え?」


「今日の練習はお前たち一年生と二、三年生で紅白戦だ」


はっきり言って、訳がわからなかった。

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