翔太の生配信 + 五人の未来
『えー、ボク暴かれちゃうのー? こわーい』
≪¥3,000:ショタきゅんが暴かれてるところ見たい!!≫
≪¥10,000:暴くも何も実写で喉仏まで出してんのになぁ≫
≪¥500:騒げば騒ぐほど向こうが面白がるから無視一択≫
≪¥2,000:週刊誌系のサイトも結構酷い事書いてたな≫
『あ、そうだ。
事務所経由してボクの手元に大量の干し芋とキクラゲが届いたんだ。
みんなありがとねー。
どうやって並行世界まで運んだかは禁則事項なので秘密ぅ』
≪¥2,000:結局その二つだけだったんよねw≫
≪¥5,000:他に欲しい物ないのー?≫
≪¥10,000:お姉さん達が買ってあげるよー?≫
『えっと、キクラゲを料理してもらった画像を撮ったから、
≪¥3,000:きちゃ≫
≪¥1,000:きくらげの天ぷら!?≫
≪¥20,000:レバニラ炒めにきくらげ入れるの美味そう≫
≪¥5,000:八宝菜めちゃくちゃおいしそう≫
『まだまだいっぱいあるから、
当分の間はキクラゲを堪能できそーだよ』
≪¥1,000:この料理はもちろん侍女さんが作った訳で≫
≪¥3,000:ってこれどう見ても一人分って量じゃないよね≫
≪¥5,000:わざわざ撮影用に四兄弟分用意してもらった、とか?≫
『あ、この大皿は侍女や執事と一緒の分だよー。
来客がない時は皆で食べるんだよって、ゴメン今の忘れてー。
侍女さんが思いっ切り両手で×作ってるわwww』
≪¥20,000:笑ってる場合じゃないんよw≫
≪¥10,000:了解ですwww≫
≪¥30,000:微笑ましいwww≫
≪¥5,000:こんな良いお宅の平和を乱そうとするなんて許せんな≫
『はい、という事で時間になっちゃーたーよー。
またハム子さんとの共同生配信の日が決まったら知らせるね。
四兄弟のうち、誰がお相手するか分かんないけど。
こっちの事情で一人しか喋れないんよねぇ。
ま、そのうち何とかするつもりだーけーど-』
≪¥1,000:何とか出来る問題なのか?w≫
≪¥10,000:コテンパンにやっつけちゃって!≫
≪¥5,000:あんまり気にしてなさそうでホッとしました≫
≪¥2,000:楽しみではある≫
『それじゃーまたねー、子猫ちゃん達ぃー。
……ボクが負ける訳ないじゃん、何言ってんの?』
◇本日の配信は終了しました◇
◇またのお越しをお待ちしております◇
「配信終了、お疲れ様です」
伊吹が配信用のオフィスチェアから立ち上がり、身体を解す。初配信から何度も生配信をして来たとはいえ、未だに慣れていない。
「お兄さん、VCスタジオがある程度方向性が見えて来たから、試作版を見てみてほしいって」
「え、今? もう定時とっくに過ぎてるよ?」
今夜の生配信を終えたのが午後十一時。あまり遅くなると視聴者の明日に影響するという事で、大体この時間には終えるようにしているのだ。
「それが、頼んでる仕事がハム子との対決に必要なんだったら、絶対に間に合わせないとって言ってくれて……」
例えそうだとしても、無理な残業はしてほしくない伊吹なのだが、今は素直にありがとうと伝えるべきだと判断する。
「じゃあとりあえず見に行こっか」
配信部屋からVCスタジオへ向かう途中、燈子は伊吹が先ほど言った事に対する真意を確かめるべく口を開く。
「お兄さん。私達がお兄さんと結婚する事で、ハム子とのいざこざの矢面に立たせてしまう事に対する責任を取る事になる?」
「なるよ、十分に」
「あの、私も気になるから、聞かせてほしいな」
藍子も燈子がやってしまった事に対する責任は取るつもりでいる。例え世界中に伊吹の顔が公開されなくとも、藍子とハム子の因縁に対して伊吹の力を借りている事に変わりなく、二人は大きな責任を感じている。
ただ、責任の取り方が伊吹と結婚する事だと言われても、戸惑いしかない。
「正直に言うよ、僕は
「それは、うん。すごく羨ましい」
「あれだけ仲良さげにされてたら、分かるよ」
六階のエレベーターの前で立ち止まり、伊吹は藍子と燈子に向き直る。
「二人と結婚したい。けど、二人は僕の第一夫人にも第二夫人になれないんだ。
いずれ条件に当てはまる人達と結婚しなければならないなら、すでに出会っている藍子さんと燈子さんがいいなって思ってる。
二人が僕の事を憎からず思ってくれてるだろうって自惚れもあるんだけど、どうせなら弱みにつけ込んで無理矢理結婚してやろうかなって思ったんだ」
「弱みにつけ込んでなんてそんな! むしろ、こっちがお願いしたいくらいだよ……。
だって、伊吹さんは私を助けてくれたから」
「私も藍子と同じ気持ちです。もうお兄さん、伊吹さん以外の男性の事を好きになるなんてあり得ないもの。
それに、実は私達、美哉さんと橘香さんとは伊吹さんの知らないところで仲良くさせてもらってるしね。きっと良い家庭を築けるわ」
伊吹は美哉と橘香に顔を向ける。お澄まし顔で控えているように見える二人だが、若干顔が赤いのが分かる。
「どうか、お兄さんとの関係を認めてほしいって、お兄さんがいないと生きて行けないって涙ながらにお願いされちゃったら、ねぇ?」
「ちょっととこちゃん、それは内緒にしようねって言ったでしょ?」
美哉と橘香がスカートの裾をぎゅっと握り締めている。伊吹の手前、そして将来的に奥様となる二人に対して、強く抗議が出来ないのだ。
「じゃあ、ハム子との対談がどんなものであろうが全力で打ち負かして、二人と婚約するって事で良い?
蔑ろにするつもりは全くないけど、僕って嘘つけないからさ、多分二人の目の前で美哉と橘香とイチャイチャイチャイチャすると思うんだ」
「その分私達ともイチャイチャしてくれるなら、喜んで」
「むしろお兄さんと結婚出来るなんて、何と言えば良いか……」
伊吹は二人を抱き締めて、耳元で囁く。
「ごめん、先に美哉と橘香を抱くよ?
でも、二人の事もいっぱい抱くから、許してくれる?」
「「ずるい、本当にずるい!!」」
少し離れたところで。
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