男性に聞く100の質問その5

「著作権ですか? 歌や小説に対する権利、ですよね。作った人以外が勝手に使えないように保護する為の」


「そうです。この世界でもイラストは著作権による保護対象でしょうか?」


「もちろん、です」


「質問者さんはとあるイラストを手掛けましたね? そして今現在、複数の第三者が商業用として使用されていますね?」


「……はい」


「貴女はその第三者へ著作権を譲渡する契約を交わしましたか?」


「いいえ。……っ!?」


「僕はVividヴィヴィッドColorsカラーズ所属のVtunerブイチューナーとして、さらにはVividColorsの株主兼役員として、我が社所属のイラストレーターが製作したイラストの無断使用について危惧しています。

 ……ですが、貴女方がもうしばらく様子を見たいと仰るなら、向こうからの動きを待ってみても良いと思っています」


『VividColorsで起きた一連の騒動については、また改めて動画等を通じて説明させて頂く予定です。お騒がせ致しまして申し訳ございません』


「さて、余計な話をしてしまいました。次の質問をお願いします」


「はい、えっと……、七十九問目です。

 何故私達にそこまで良くして下さるのでしょうか?

 自分で言うのも何ですが、きちんと書面に残したり、わだかまりがないように話し合いをしたりすればこのような事にはならなかったかも知れません。身から出た錆であると言われても仕方ない状況です」


「それはどうでしょうね。どれだけ用意周到にしていても、悪い人達ってのは抜け道を探すものです。

 それと、書面を残したりと形式ばった事をしなかったのは、それだけ個人個人に裁量を与えていたとも言えます。ここからここまでの範囲でしか活動するな、と言われると、表現者としての個人は抑圧されて身動きがし辛くなると思います。

 抑圧されて出ていったのではなく、配信環境そのものを強奪した訳ですからね。まさかそんな事をする人がいるなんて想像出来ないですよ」


「……七十九問目です。

 何故私達にそこまで良くして下さるのでしょうか?」


「あぁ、質問に対する回答になってませんでしたね。

 えーっと、Vtunerという新しい配信形式にいち早く目を付けられた、素晴らしい着眼点。そして会社を興すべきとされた判断力と行動力。そんな新しい分野に賭けたお姉様を支えると決めた決断力。貴女が描かれるイラストの魅力。お二人のお人柄と……」


「ありがとうございます! 十分伝わりました!!

 八十問目。お兄さんのイラストは、私が描かせてもらっても良いのでしょうか? もっと腕のある有名なイラストレーターさんにお願いする事も出来ますけど」


「いえ、貴女に描いて頂きたい。もしご自身で納得出来るイラストが描けない場合は描けるまで待ちますよ」


「……それはそれで胃に悪そうです。

 えっと、八十一問目。どんなイラストが良いか、ある程度の方向性を決めてほしいです」


「そうですねぇ、では四人兄弟か、もしくは四つ子のキャラ設定にしましょうか。見た目や顔はほぼ同じで、それぞれの色を決める事で見分けがつくようにして」


「またぶっ飛んだ事を言われますね。この世界に四兄弟なんて現存してないと思いますよ?

 えっと、八十二問目です。色分けするというのは?」


「長男が紫で名前が一徳いっとく。次男が青でじん。三男が赤で礼三れいぞう。四男が黄色で四信しのぶ。ちょっと無理やりですね。改めて考えた方が良いな」


「冠位十二階、ですか。渋いですね」


「あと思い浮かぶのは、さっき聞かれた四字熟語をもじってみるのも良いかも。風林火山とか花鳥風月から取って、名前に当てはめて考えてみるとか」


「八十三問目。四兄弟のキャラだとして、どのような配信になるのでしょうか?」


「その日その時間によって配信するキャラを変えるんですよ。

 長男はしっかり者で、次男はヤンチャで、三男は上二人が怒られているのをいつも見ているので要領が良く、四男は末っ子で甘えん坊。

 配信画面に映っているキャラによって視聴者さんに対する話し方や接し方を変えるようにしてやれば、より広く多くの視聴者さんに楽しんでもらえるんじゃないでしょうか」


「うーん……」


「伝わり辛いです?」


「いえ、ここまで動画で手の内を曝け出して良いのだろかと思いまして。真似しようとすれば出来ますよね?

 もしこの質問を使うならこれが八十四問目です」


「大丈夫ですよ。初めての配信に向けて準備しているところも楽しんでもらえますし。それに僕以外の男がこれを観たとして、僕がVtunerデビューして生配信を始めるまでにYourTunesユアチューンズでチャンネルを開設してキャラ絵を四種類用意して配信する、なんて事があると思います?」


「考えにくい、ですね」


「仮にいたとしても、僕以上に上手くやれるとは思えません。それが並行世界から来たプロの配信者でない限りは」


「分かりました。どちらにしても私はお兄さんに着いて行くしかなさそうです。

 よく考えたら私、お兄さんのキャラを一ヶ月後の配信までに四種類用意しないとダメなんですよね。間に合うのか不安になって来たので、この動画を急いで撮り終えたいと思います!

 八十五問目。用意していた質問から……、今欲しいものってありますか?」


「視聴者さんの笑顔、ですかね」


「声が良い!

 八十六問目。今欲しい品物はありますか?」


「暑くないタートルネック」


「えー、ここでお兄さんの侍女さんからの質問です。

 八十七問目。今反省している事はありますか?」


「はい、反省している事は、スマホを確認しなかった事です」


「長くなりそうなので次の質問へ参ります。

 八十八問目。人からどんな性格だと言われますか?」


「お人好し」

「お調子者」


「だそうです」


「えっと、侍女さん達が回答されましたが有効とさせて頂きます。

 八十九問目。これを聞いていませんでした。身長は何センチ?」


「「175センチ」」


「です」


「はい。

 九十問目。足の大きさは?」


「「27センチ」」


「九十一問目。利き手は?」


「「右手」」


「九十二問目。好きな人はいますか?」


「「…………」」


「あれ? えっと、二人います」


「ご馳走様です。

 九十三問目。行ってみたい国はありますか?」


「台湾、ハワイ、グアム、サイパンとか行けたらいいなと思います」


「えっと、全部……、いえ何でもないです。

 九十四問目。これを聞いていませんでした。犬派? 猫派?」


「どっちも好きですが、猫派ですね。残念ながらアレルギーなので飼えませんが」


「九十五問目。ちょっとした自慢はありますか?」


「練習なしで自転車に乗れました」


「え、すごいですね。何歳の時のお話ですか?

 九十六問目とします」


「四歳だったっけ?」


「「三歳の時」」


「前世の記憶があるから……?

 次が九十七問目です。甘い食べ物は好きですか?」


「好きです。チョコもあずきもアイスもケーキも何でも好きです」


「九十八問目。Vtunerとしての当面の目標は?」


「一年以内に登録者百万人行かなければ引退します!」


「まだデビューもしてないのに!?

 えっと、では九十九問目。YourTunes以外のSNSは開設予定ですか?」


「とりあえずYoungNatterヤンナッターを開設して、動画投稿時と生配信開始時に投稿しますかね」


「それでは最後、百問目です!

 これを観ている視聴者さんへ一言!!」


「チャンネル登録、高評価、更新通知設定、他のSNSでの拡散、友達や家族へのオススメをお願いします!」


「以上、お疲れ様でした! ありがとうございました!!」


「それではキャラ絵作りから始めましょうか。まずは……」


『一ヶ月後をお楽しみに!』

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る