🇨🇳中国歴代王朝を覚える替え歌全集📕 著作権保護に違反しないで替え歌を❗ふりがなにも注目してね😆日常にささやかな知的道楽を❗️
土岐三郎頼芸(ときさぶろうよりのり)
第1話 パブリックドメインとアルプス一万尺
ここはオフィス・モノクロ。マンガ家、
買い出しからアシスタントの山本カズマ(モデル兼雑用)、瀬田チカ(モデル兼作画)、ミイ・ヨシノ(モデル兼作画。日系ブラジル人)の三人が帰って来ると、主であるサブロウが、食堂のテーブルについてスマホを見ながらブツブツなにかつぶやいている。
「・・・・・・そうせいりょうちんほくぎとうぎせいぎほくせいほくしゅう・・・・・・」
「おーい、サブロウ
「失敬だな、カズマ。YouTubeで中国の王朝をアルプス一万尺の替え歌で覚えるってのに合わせてつぶやいてみたんだ」
「へえ、そんなのあるんですね。聞いてみたいです」
「ヨシノの頼みじゃあ断れないな。よし、歌うぞ!」
「師匠、ちょっと待って!」
「チカ、どうした?」
「アルプス一万尺って著作権の保護期間に問題はないか確認したの?」
「うわあっ! 真面目か!」
「当たり前でしょ! パブリックドメインでない著作物を引用するのって大変なんだから」
「そらそうやな。嘉門達夫も『替え歌メドレー』でえらい苦労してはったみたいやしなあ」
「ええと、パブリックドメインってなんですか?」
「ざっくり言うと著作権フリーの知的創作物のことよ」
「知的創作物って?」
「よく目にするのは小説や音楽、絵画や写真にイラストやマンガ、アニメや映画とか諸々の動画もそうね」
「
「今例にあげたような知的創作物にはふつうは著作権があって著作権者に断りなく勝手に転載したり利用できないように守られてるわけ」
「その例外がパブリックドメインや。コレは著作権者がその権利を放棄したか、著作権の保護期間を過ぎた場合やな。こうなったらもう転載も丸ごと引用してオッケーや」
「うむ。だが、もちろん著作人格権というのもあって、パブリックドメインの作品を悪意を持って編集したり、アダルトサイトの広告に用いたりすると訴えられることもあるから要注意だ」
「アダルトサイトの話はともかく、さっきチカさんが著作権の保護期間を過ぎているか聞いたのは引用できるか確認をしたかったからなんですね。著作権の保護期間ってややこしいんですか?」
「うむ。ちょっとややこしいぞ。著作権者が放棄しない限りは生存中はもちろん、没後の一定期間が保護期間となる。現在の日本ではおおかたの国と同じく没後70年までだ。ココまでは問題ないな」
「はい」
「でも日本は今までにその期間が何回も変更されているから、著作権者が亡くなったタイミングによってその長さはまちまちになっている。実際TPP加盟で改正した2018年までの保護期間は没後50年までだったからな。そして、一旦著作権の保護期間が満了した場合は、保護期間が復活することはないんだ」
「うん。ちょっと複雑だけどわかりました」
「で、師匠! 肝腎の『アルプス一万尺』の方はどうなっているの?」
「もちろん確認済みだし問題ない。まず曲の方だが原曲は“
「幼稚園で習うような童謡だからもっと新しいかと思ったけれど百四、五十年も前の曲だったんですねえ」
「ちなみに幕末に開国し〜てく〜ださ〜い、とやってきたペリー提督は日本初上陸の時に、音楽隊にこの曲を演奏させてたらしいぞ」
「BGM付きで登場ってめちゃめちゃカッコええな!」
「ダース・ベイダーみたいだよな!」
「師匠、じゃあ日本語の『アルプス一万尺』の歌詞の方はどうなの?」
「こっちも作詞者不祥だ。1956年に作詞者不明のとして掲載されているのが『アルプス一万尺』としての初出だ。歌詞を作ったのは京都大学の山岳部の学生とか京都大学山岳部を作った西堀榮三郎とか言われているが現在に至るまで作詞者不詳のままだ。ということでこの曲は完全なパブリックドメインだ。歌詞もメロディーも楽譜も引用自由だ」
「替え歌の歌詞の方は問題にならないんですか?」
「中国の歴代王朝や時代をただ並べただけで作詞者として著作権を主張できるはずはない。そんなことを認めたら中国の歴史の本の目次が著作権違反で日本音楽著作権協会(JASRAC)に訴えられることになる」
「いくらなんでも、それは無茶よ」
「ありえへんわ!」
「それもそうですね」
「ということで堂々と歌うぞ〜!
「「「どうぞ、どうぞ!」」」
アルプス一万尺のメロディをバックにサブロウが歌い始めた。
チャラララ〜ララララ〜ラララララ〜ラ
♬
チャラララ〜ララララ〜ラララララ〜ラ
👏👏👏👏👏👏
サブロウが歌い終えるとアシスタントの三人が拍手した。
「すごいな、これ便利やな」
「ホント、受験生や中高生にはオススメね」
「うーん。でも、さっきサブロウ先生が歌ってたのと歌詞が全然違うような気がするんですけど?」
「ギクっ! 気づかれたか。実はさっきのは、ノーマルモードだ。さらに上級のもっと細かいハードモードが存在するのだ。さっきは、そちらを練習していたのだ」
「師匠〜、ズルして楽しちゃダメじゃないですか〜」
「せやな。まあ、男やったらハードモードにも挑戦せなあかんやろ」
「サブロウ先生、がんばってください!」
「うう。わかった。歌ってみるぞ! ただしカンペは使わせてくれ」
「「まあいいでしょ」」
「どうぞ」
サブロウは再びアルプス一万尺のメロディをバックに歌い始めた。
♬チャラララ〜ララララ〜ラララララ〜ラ
♬
♬チャラララ〜ララララ〜ラララララ〜ラ
👏👏👏👏👏👏 👏👏👏👏👏👏
サブロウが歌い終えるとアシスタントの三人がさっきよりも長く拍手した。
「すごい、すごい!」
「すごいです!」
「たいしたもんやな。カンペなしやったらもっとよかったんやけど」
「もうちょっと練習しないとまだ無理」
「サブロウ先生、他にも中国王朝の歌はあるのですか?」
「あるぞ〜でもここで、次回に続くのだ!」
つづく
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます