異世界冒険記

毛根死滅丸

第1話 前世を思い出すも…

異世界に転生して15年……前世の記憶を思い出すのが遅すぎた。


むかつく異母兄弟の兄に階段から突き落とされた時に頭を強打したらしく一週間も昏睡状態だったらしい。


懸命に執事のベルゼブルが看病してくれ、今日一週間ぶりに目を覚ましたのだ。


夢で前世の俺を見た……前世の俺は、かなりのお人好しだった。


最終的には騙され破滅した……そして失意のうちに死んだんだと思う。


正直なところ、最後の瞬間は憶えていない。


まぁ思い出したところで良い最後ではなかっただろう。


自分は幸運なんだろうな……こうして二度目の人生を歩めるのだから。


だが……記憶を思い出すのが遅すぎた。


父は我が公爵家の傍流の出で婿養子として母と結婚したのだが、母は俺を産んで直ぐに体調が急変して亡くなってしまったのだ。


亡くなって悲しみに暮れる公爵家の人々とは違い父は自身の愛人(現公爵夫人)と公爵夫人との間に生まれた子を公爵邸に連れ込んだのだ。


当然のこと大反発は起きたが父は反抗的な者たちを辞めさせて、自身の実家と愛人の実家から人を入れて反抗的な者たちを次々に追い出していったのだった。


それでも正統な後継者は俺なのだが、現公爵夫人の実姉が現王の第二夫人として嫁いでおり王子を産んでいるのだ。


王妃にも王子はいるのだが、第二夫人、現公爵夫人の実家は王国の名門伯爵家であり、かなりの力を持っているのだ……


腹は立つが現状をひっくり返すのは無理だな。

俺は今、領地に居る……この国を出るなら都合が良いな


多分……俺はこの世界に転生する時に神様に会っていると思う。

会った時の記憶は【おぼろげ】で余り思い出せない。


だが……この世界で生き抜く力を貰った。


この世界には魔物がいる、魔法が存在しスキルも存在している世界なのだ。


前世の自分が憧れた世界が目の前に有るのだ!


自身のステータスが見れた時には感動したな……ファンタジーの世界だってさ。


正直言って公爵家の家督に興味はない。

現状公爵家は公爵夫人の散財で赤字だとベル爺が言っていた。


近いうちにベル爺を説得して公爵家を出よう。ベル爺なら分かってくれる。


よし!明日からは忙しくなる……とりあえず寝よう。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る