暴君（short ver.)

暴君(short ver.)

K国に新たな王が誕生する。

彼はクーデターによって前王を追い出した。

前王は暴君だった。

民衆や重臣達の怒りを買った。

そこでまつりあげられたのが、

王子であった彼。

もちろん、かつてないほど良い王となる。

彼もまた前王に虐げられていた1人。

もう二度と過ちを繰り返さないと、

国民のために働いた。

国はかつてないほど繁栄を極めた。

噂を聞きつけた遠い国から使者がやってくる

国中を見てまわって、感想を一言。

「こんなに素晴らしい国は見たことがない。

　よっぽど親御さんの教育が

　良かったのですね。」

王は複雑な気持ちになる。

実際のところ、全く逆なのだ。

私は彼のようにならないため努力して来た。

それだけを目指したと言ってもいい。

しかし、

確かに私がこうなれた原因は父であり、

親の教育が良かったと言えば、

そう言えないこともないのだ。

皮肉な事だ。彼はにやけてしまった。

けれども、すぐに彼の顔が青ざめる。

偶然ハイハイしていた息子を見た時だった。

この理論でいくと、彼はきっと暴君に…