06-07

 少年は純粋に、私をとしてではなく、として扱ってくれた。それは私にとっては初めてのことだった。そしてなぜか、無性に嬉しかった。出会ったその日の夜、少年は言った。残った味方を逃がすために、一人で本陣に切り込む、と。そんな馬鹿な話があるかと私は思ったが、私の言葉は少年には聞こえない。私という剣を、ガルンシュバーグという剣を手にしておきながら、自らの命を捨ててまで身分の低い一兵卒たちを助ける? 正気の沙汰とは思えなかった。そもそも私がいれば、どんな局面でも造作なく切り抜けられるというのに。

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