05-05

 毎日のように数百、数千と死にゆく中で、エリザはその血まみれの日々が楽しくて仕方がない様子だった。味方が苦戦しているとあらば、エリザはその戦場に姿を現した――私と共に。エリザは圧倒的な、私が見たことがないほどの強さを持っていた。ほとんど単騎で一個旅団を退けてしまうその力は、国王派の貴族の多くを寝返らせるに足りた。また、彼女の操る呪いの力も強力にして露骨だった。本陣の全員が謎の熱病に侵される、大将が毒蛇に殺される、渡河の最中に鉄砲水に襲われる……。彼女はもうその存在自体が天災に等しかった。その噂が噂を呼び、国王派の貴族たちはすっかり怖気おじけ付いてしまった。そしてエリザはいつしか、国土の過半を掌握するに至っていた。

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