03-04

 ごとりと転がった魔女の首から、哄笑こうしょうが響く。魔女は言った――せっかく運命にあらがう機会をくれてやったのに、と。魔女の身体と頭が赤黒い霧と化し、略奪され尽くした城下の街を覆う。王国民の死と苦しみに満ちた街。異民族の狂気と傲慢に満ちた街。それらありとあらゆる負の感情を凝縮したその街は、汚れた血の色に染め上げられ、やがて、燃えた。赫々かくかくたるほむらに彩られたその都には、非業の死を遂げた王と王妃の怨念が渦巻いていた。その力は私の中に流れ込み、私はますます鋭くなった。

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