リーゲンのスキルハント ハント9 分身

リーゲンのスキルハント ハント9 分身


 これは毒毒満が襲来する前の話である。

 リーゲンが部屋に帰るとそこには能無が待っていた。

 無言でタブレットをリーゲンに渡す。


「はい。もちろんやります」


 リーゲンは弱々しい笑いを頬に溜め、早速タブレットの内容を調べ始める。

 リストを見る中。リーゲンはとある人物を目に留まった。


「――――分身……」


 それフルドライブスキル【分身】だ。すると、能無は突然語り始める。

 

「そいつの名は通称〈分離〉。都合のいいことしか考えず、都合が悪いと言い訳ばかりする痩せ細ったおじさんだ。

 自分じゃないと言いつつ、盗人している姿はまるでとある鬼そっくりだ。

 おそらく、ここの屋敷の財産を盗むつもりだろう」


 能無は淡々と説明すると、リーゲンは窓から飛び降りる。

 リーゲンはターゲットを見つける。そこには痩せ細ったおじさんが見えた。


「ひぃ!!」


 分離は大きく怯える。怯えると同時に分身し始める。戦うと思いきや全員逃げ始める。

 しかし、リーゲンは【能力オープン チェーン】で相手を鞭みたいに振るう。

 分身は消え去り、本体は猛スピードで逃げ始める。

 するとリーゲンはチェーンで相手の体を絡めて、引きずり出した。

 相手は分身を身代わりにしようとするが、このフルドライブスキル【分身】には弱点がある。それは発動中に集中していること。

 集中が途切れるとせっかく作った分身が消えてしまうからだ。

 怯える分離。すぐにリーゲンは蹴り、右脚で腹を抑えて、右人差し指を右親指で押して、骨を鳴らす。

 リーゲンの右手は魔力を纏い。右手を相手の心臓付近へ突っ込ませた。

 魔力穴を無理矢理こじ開けて、そこから魔力球を引きずり出した。そして、リーゲンは【能力インストール】でフルドライブスキル【分身】を奪い取った。


「ち、違うんです! わ、わ、私じゃない……!」


 すぐにリーゲンは相手を絡めた鎖を振り回す。そこには大量の札束を奪っていた。おそらく別のところだろう。


「ち、違う。これはこ、この頭が……、この頭が悪いんです」


 必死に言い訳をする分離。しかし、リーゲンは瞬時に作った片手剣で切り付けて、相手の首を切り、それを手に取ろうとするが。


「見つけたぞ!! あいつだ! あのくそ親父……。いい姉ちゃんじゃねえか」


 地下派のマークを頬に付けている半グレ。

 どうやらこの分離は地下派の半グレの金を盗んだようだ。その証拠にこの札は地下派が作った偽札であった。

 最初は怒っていたが、リーゲンのボディを見て、にやにやする。

 それと同時に四体はナイフを持って、リーゲンに襲い掛かる。

 リーゲンは双剣を作り、自分の魔力を変換。地に変えて、相手を斬りつける。

 回避しながら、リーゲンは右剣で袈裟斬り。相手の胴体を切り付け、石化する。

 さらに残りの二体は脚斬りで転ばし、石化させた。

 地属性は一部石化が入っており、極稀であるが斬られると石化することがある。

 リーゲンは石化した者たちを足で踏んづけて、粉砕する。

 そして、チェーンを解除した後。今度は自分の魔力を炎属性に変えて、双剣に炎を付加、分離の体を燃やして、武器を消した。

 最後にリーゲンは首を持って、帰る。そこには能無がいて、リーゲンは首を渡すと、能無はほうしゅうとして、15万ツカを差し出した。

 リーゲンは受け取り、お礼を言おうとするが。

 能無はいなくなっていた。

 不思議そうに見るリーゲン。すぐに屋敷に帰り、リーゲンは優華を見つけるが、その前にkyがレティアに嫌がらせをしようと企んでいた。

 だから、リーゲンはkyを止め始めた。

 そして、ここから本編に繋がる。


 殺害対象者 


 分離 フルドライブスキル【分身】


 幼少のころから自分のことしか考えておらず、しかも都合が悪いと言い訳ばかりするどうしようもないおじさん。

 フルドライブスキルを自分の能力だと思い込んでいる。本当は商人にもらったのに。

 そのスキルは盗人として活用している。


 次回 ハント10 地吸収・地強化

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る