痛む心の隙間を埋める彼らは ~切なき過去と忘れじのトラウマ~

黒崎灯明

プロローグ

「ねぇ、明來あくる。今度さ、二人で遊園地に遊びに行かない?」


私が学校で独りぼっちになったときに、大好きな彼が助けてくれた。

そして、「遊園地に二人で遊びに行かない?」と私を誘ってくれた。

あれ?ちょっと待って。

二人で?今、二人でって言わなかった?

それってもしかして......いや、そんなわけ無いか。

いくら、遊園地でも彼は言わないはず、だよね?




「二人で遊園地!?というより、今度っていつ?」

「ほら、今週末空いてるって言ってなかったっけ?」


うん、言った。今週末は、両親が仕事でいないから家に誰もいない。

何処かに行こうと思えば行けるけど、遊園地デートなんて言わない、よね?



「うん、予定は空いてるけど......。」

「じゃあ、二人で遊園地.....行こ?ほら、遊園地デートってやつ。」




やばい、出ちゃった......出ちゃったよ。白導はくうからの遊園地デートが。

でも......正直、嬉しいっちゃ嬉しい。こんな事はいままで一度もなかった。

初めての白導とのデート......しかも遊園地でのデート、絶対最高だよ。


「いいよ、白導とだったら遊園地でもどこでも行く!」

「そんな風に言われたら、いくら俺でも恥ずかしいよ......。」


今日は水曜日、だからあと3日待てば白導とのデートだ〜!

楽しみ、今から当日のスケジュールとか立てちゃおうかな......。

と思うとその日がすごく待ち遠しく感じてくる。


「あーあ、もう家着いちゃったよ......どうする?家に帰る?」

「ううん、もうちょっと白導と一緒にいる。良いでしょ?」


私はただ、遊園地デートのことを考えちゃうような感覚に浸っていたいだけ。

家に帰っちゃったらその雰囲気がなんか違う感覚になっちゃうから。

だから一緒にいたい、ただそれだけ。


「いいよ、もうちょっと一緒にいようか。なんてね、駄目だよ。もう遅いから。」

「う〜ん、わかった。じゃあ、楽しみにしておくね!遊園地デート。」



あと3日......待ちきれないな。早く遊園地デートの日になれ〜!

強く懇願する私に女神様が微笑んでくれますように!







































この時は、まだ知らなかった。

この遊園地デートがすごく辛い過去になってしまうということを。

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