この手紙があるから僕は、今の君と過ごせる

ケンタン

第1話

ふーさすがに暑いな、まだ7月に入ったばかりだよな。まっ外でやるわけじゃないし別にいいんだけどさ。本番まであと2時間だし、毎回あれだけどこれ読まないと自信もてない性格どうにかしないとな。じゃないとまた、どやされちゃうし


俺は、胸ポケットに大切に入れてる一通の手紙を取り出す。この手紙は、俺の大事な人が病院のベッドで必死に書いてくれて手術前にいきなり渡された手紙である。大事なイベントがある度に読んでいるのでボロボロだが、この手紙のお陰で俺は今、夢の舞台に立つことが出来ている。


「あ〜また暇あれば出して全くそんなに何回も読んでどうすんのさ?一言一句暗記できるくらい読んでるでしょ?今のあんたの姿をあの子が見たらなんていうか、ほらっ手紙はいつでも読めるでしょ。立った立った」この、僕をまくしたてる女性は阿笠里保あがさりほ中学からの付き合いで、今は僕のマネージャーとして日々共に忙しい毎日を送っている。


再び会場に戻ると外の熱気が一気に下がるがそれとは別の熱気が会場内に充満している。会場にはたくさんの人がいて、年に一度のこのイベントを見るために全国各地から色々な人がやってくる。


僕がこの舞台に来るのは五年ぶりだ。それまでの間に起きた色々な出来事が浮かび上がる。辛いこと、嬉しいこと、悲しいこと色々あったけど僕にとっては全てが大切な思い出だ。あの経験があったから今の僕はここにいることが出来るんだ

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