すれちがい――最強美少女は秘密を持つ――

如月 架叶

プロローグ

「マドレーヌ……! なぜ、死んじゃったの!? 悲しすぎるよっ……!!」

 その者は1人、グレーの墓標の前に立っていた。


 その者の目から涙が流れ、頬を伝って落ちた雫が、地へと落ちてゆく。


 涙の粒は、地の底へとゆっくり染みこんでゆく。


「ずっと……ずっと一緒に生きようって誓ったのにっ……! ずっと、一緒に居ようって、約束したのに……っ!!」

 その者は、その者の身長よりも少し高めの墓標を両手で抱きしめた。


「……冷たい……。」

 墓石には温もりがなく、ただただ冷たさだけが伝わってくる。その者の2つの目からはずっと、涙が流れ落ち続けている。


「……動かないこんな石の塊になんかなっちゃって、……これから1人で、どうしていけばいいんだろうっ……!!?」


 マドレーヌという大切な存在が自分の元から姿を消し、動かぬただの冷たい石の塊となってしまった。


 その者は、墓石を抱きしめ、しばらくマドレーヌを想い、涙を流し続けていたのだった。

 

 

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