第4話 剣士寄宿学校の花
「貴女、アタシと勝負しなさい」
いきなり喧嘩を売られました。
まあ、わかっていたことではありますけどね。
ことの発端はというと、いつものようにSRSの施設へと訪問するために来たのですが、運悪く剣士寄宿学校なるプレンティア有数の剣士育成学校の施設だったらしくて。
私はこの寄宿学校のことをあまりいい印象ないんですよ。剣を担いでいるからってすぐに決闘を申し込んでくるんです。私は第一に使用人ですよ?どうして面倒ごとを自分で増やすんですかね。
決闘を申し込んでくる人たちを軽く断りながら薫さんの横で過ごしていたのですけど、今私に喧嘩を売ってきている人物である
「聞いてるの?アタシは貴女の態度が気に食わないと申しているんです」
それでこれですよ。私だって剣を使う身であるものの、これは私の一族の掟みたいなものであって、戦闘をしたいがために剣を持つわけではありません。
「だから私はしませんよ!戦うために来てるわけじゃないんですから!薫さん助けてくださいよ!」
薫さんに助け舟を要求しましたが、ニコニコとその様子を見て企んでいる表情になっていました。
「いいじゃないか、剣を交えて友情を育めるなんて。ほら準備して!」
話がわかるいい大人ですね。なんて思えるわけないでしょう!私の平穏はどこにあるんでうすか!
光の幕が上がって、私と相手である並風さんの手元に得物が投影されていきます。
「ふん。貴女の主人、話がわかる人で助かったわ。貴女のその心を見てやる」
もう向こうやる気じゃないですか。
「お手柔らかにお願いしますね」
そう簡単に聞き入れてくれはしないと思いますが。
「ここに立っているのだもの誰であれアタシは容赦しないわ」
これは重い腰を上げなければいけなさそうですね。
剣を構え、相手を見つめる。
並風さんは二刀流のダガー使い、確実に速度重視の連撃を放ってくるでしょうね。
「行くわよ、
火蓋が斬って落とされ、私に向かって並風さんは勢いよく突き進んでくる。
「やはりそう来ますか」
想定通りの動きですね。でもこれ、私の剣術だと不利なんですよね。どうしても得物の性質上先手を取られやすいので、頑張って押し込むことが勝利につながるのですけど、取り回しの良い武器に加えて相応のスピードで手数を増やしてくる相手はあまり得意ではないんです。
「もらった!」
「ッ」
高速で袈裟斬りを放ってくる並風さんの刃を刃の腹で受け止めたのはいいのですが、二刀流の強みを発揮させられてしまいます。右から左に交互に放たれる鋭い攻撃で私は手も足も出ていない状態になってしました。
「大剣持ちだからといって」
このスピードは少し手が折れますが、私にとってはまだ対処できる範囲内ですよ。
「な!」
鋭い金属音があたりに響き渡る。並風さんは大きくのけぞり大きな隙を晒した。
「この手を対策してないわけないじゃないですか!」
連撃を続けすぎて精度が落ちてきているのを見逃しませんよ。そこに合わせて剣を弾いてバランスを崩させれば私のターンです。大剣であってもやり用はあるんですよ。
「だからって!ッぐ!」
すぐに並風さんは切り返そうとしたため、回し蹴りをして一旦お茶を濁します。
「まだ始まったばかりですよ」
挑発していたつもりはありませんが並風さんはそう受け取ったらしく、激しく激昂している状態になってしまいました。
「そう、ならもっとアタシにくれよ!その剣の重みを!」
この人煽り耐性低すぎません?雰囲気がもっと暑苦しくなった気がします。
「いくぜ!」
あっぶないですね!少し防御が遅かったら確実にやられてましたね。踏み込みが深くて一瞬見失っちゃいましたよ。先ほどよりもスピードも剣からの圧も二倍、いえ三倍程度には上がっていますね。まるで私を殺さんとしているようですよ。
「外れたァ!?」
もはやキャラクターも変わっちゃってますよ。
「今度はこちらからいきますよ!」
剣を地面と水平になるように沿わせながら滑るように鋒を並風さんに向かわせる。
「来たッ!」
袈裟斬りをフェイントで見せつけながら本命の斬り上げを放つが、並風さんはそれを嬉々として受け止める。
「
私は防御されたと同時に刃を魔法で押し込みながら並風さんのダガー一本を弾き飛ばしましたが、それでもそのダガーを持つ手は剣から離れないのでその剣への執念を見せつけられた感じがして少しむかつきます。
「ハァッ!」
サンフレアの軌道をギリギリまで絞り、二撃目の一閃を放つ。
「まだまだ!」
弾かれていない剣を防御に持ってきますが、それでは足りないと並風さんはそう踏んで弾かれた剣を無理やり防御に持ってきていました。
「そんな動きができるんですね」
互いに譲らない鍔迫り合いで改めて並風さんを見つめる。
目は確かに私を見ていますが、どこか私ではないものも見ている気がしてなりません。
「仕掛けます!」「仕掛ける!」
お互いに鍔迫り合いの状態から一旦距離をとりつつ攻撃の体勢に入り、お互いがお互いに攻撃するために間合いを詰め合う。
「
魔法を剣にかけ、連撃の準備をして仕掛ける。
ここからはお互いが一歩も譲れない連撃の嵐でお互いの剣を捌きあっていました。
「くッ!」「ツッ」
激しくぶつかり合う剣はぶつかり合うたびに激しい金属音を鳴らし続ける。
「
私はここでスパートをかけにいきました。
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