第172話
模擬戦に参加する全ての艦が揃った。
これだけの規模の艦隊が勢揃いしているのはかなりの圧巻だ。
「俊様。開戦の合図が出ました」
「では、手筈通りに進めてください」
正面からのぶつかり合いならば最新鋭艦の揃っている俊達が圧倒的に有利だ。
だが、その通りにはならないだろう。
ウェルストンからは圧倒的な自信のようなものを感じたのだ。
絶対に何か仕掛けてくる。
その対応次第で戦局が大きく動くことになるだろう。
まず接敵したのはハルカ、アカネ、シオン、フィーネの指揮する右翼艦隊だった。
ミサイルの応酬から始まり艦と艦との間隔が狭まりレーザーでの打ち合いになる。
この時点ではどちらが有利ということはなく、お互いに戦力の削りあいだ。
エルフィンドと楓を配置している左翼艦隊でも動きがあった。
楓の指揮する空母艦隊から艦載機が発進しそれに合わせてエルフィンドの指揮する突撃艦隊が敵艦に突撃していく。
艦載機の消耗は激しいが突撃艦隊にはほとんど被害が出ていない。
エルフィンドは止まることなく敵艦隊を突っ切ると艦隊を再集結させる。
その腕前は見事としかいいようがなかった。
さらに楓はいつの間にか艦載機の二陣目を発艦させておりエルフィンドの突撃で混乱している相手の艦隊を容赦なく追撃する。
「皆さん見事ですね。こちらも負けてはいられません」
どうやら味方の活躍に即発されたのかマーチェがやる気に満ちていた。
まもなく本隊である中央艦隊も敵艦隊を射程に収める。
中央艦隊は戦艦と重巡洋艦と少数の軽巡洋艦で固められている。
護衛の軽巡洋艦がさっと横に避けると戦艦の主砲が火を噴いた。
残念ながら有効打はほとんどない。
「各砲修正。指定した場所に連続射撃開始!」
どうやら初撃は着弾する場所を観測していたようだ。
近づいたこともあるが放たれた主砲は次々に敵の艦に命中する。
だが、脱落した艦はほとんどいなかった。
「命中したのに・・・」
「いえ。相手の前衛はほとんどシールド艦のようですから」
シールド艦というのは装甲を厚くした防御専用の艦である。
その目的は味方の艦の盾となり被害を防ぐの役目だ。
「シールド艦か・・・。またマニアックな艦を・・・」
「いえ。銀河帝国艦隊でも普通は配備されていますよ」
「そうなの?」
「えぇ。艦隊戦になった時に有効ですから」
確かに防御という面でみればシールド艦は優秀だ。
現にこうしてこちらの主砲を防いでいるのだ。
「反撃きます」
どうやら相手の戦艦も主砲を撃ち始めたようだ。
幸いに相手の初手は命中しなかった。
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