第169話
「改めて俊様には感謝申し上げたい」
「いえ。助けられているのはこちらの方です」
「そんなことはありません。俊様が着任されてから色々な品がハーリー星系から運び込まれています。それらの品を求めて他星系から来訪する者も多いのです」
ウェルストンは具体的にどれぐらいの利益があったのかを熱く語る。
その経済効果を聞けば俊も黙るしかなかった。
「ウェルストン卿。僭越ながら実務についてお話したいのですが・・・」
マーチェがそう口を挟む。
「あぁ・・・。熱くなってしまった。申し訳ない」
ウェルストンは深呼吸をするとその雰囲気が変わった。
そこからは各種の取引の規模や輸入してほしい物などの意見を交換する。
「そちらの要求はできる限り叶えましょう」
「ありがとうございます」
「仕事ばかりというのもあれですからね。そろそろ食事にしませんか?」
「はい。喜んで」
ウェルストンが指示を出すとホテルのスタッフがテーブルや椅子を設置する。
俊達が着席すると料理が運ばれてくる。
「お口に合うといいのですが・・・」
俊はサンドイッチのような料理に手を伸ばす。
外側のパンはパリパリに焼けていて中から濃厚な魚の味が広がる。
「これは・・・。美味しいですね」
「本当ですね。それにこの魚は・・・」
何かにマーチェが気付いたようだ。
「マーチェ。どうしたの?」
「中央でも貴重な魚ですよ。よく手に入りましたね?」
「ばれてしまいましたか?俊殿をもてなしたいと言ったら知人が頑張ってくれましてね。他にも色々ありますので楽しんでください」
次々と料理が運ばれてきてそのどれもが絶品だった。
「ふぅ・・・。美味しすぎてついつい食べ過ぎてしまいました」
「いえいえ。満足いただけたようでよかったです。こちらお部屋の鍵です」
「ありがとうございます」
俊とマーチェは席を立ちホテルの従業員の案内で用意された部屋に向かう。
用意された部屋は広く調度品もどれも高そうな物が揃っていた。
「ごゆっくりお休みください。何かあればそちらの端末からお申しつけください」
そう言って従業員は部屋を出て行った。
「マーチェ。お疲れ様」
「俊様もお疲れ様でした。この後はどうしますか?」
「今日は疲れたしお風呂に入ったら寝ようかな」
「わかりました。お先にお入りください」
「わかった。じゃぁ、お先にいただくね」
お風呂場にも調度品が置かれ実に様々な機能がついていた。
試してみたい欲求もあるがマーチェをあまり待たせるわけにもいかない。
俊は素早くお風呂を済ませると部屋に戻るのだった。
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