第117話

「俊様。ご無事ですか?」

そう言って飛び込んできたのは親衛隊である。

実は攻撃された際、親衛隊向けに救難信号を出していた。

親衛隊は俊の護衛である為、何かあった際は呼んでくださいと救難信号を出す道具を渡されていた。

「あぁ。ご苦労様です。とりあえずこの人達、拘束してください」

「はっ!」

親衛隊は手慣れた手付きで技術者達を拘束していく。

「ぐぬぬ。我らの城に土足で踏み込みこの所業。絶対に許しませんぞ」

ぎゃぁぎゃぁ騒いでいるがとりあえずは彼等が何をしていたのか確認する必要があるだろう。

「マーチェ。大丈夫?」

「はい。捕まった後は丁寧に扱われていましたから・・・」

「それで、何を造っていたんだろうね?」

そう言ってドック内を隅々まで調べる。

「んっ~・・・。特に気になる物はないですねぇ」

「ふん。我らは何もしておらぬ」

などと言っている。

「ドック内にないってことは戦艦かな?」

「調べてみます?」

「なっ・・・。我らの作品に触れるのは許さぬ」

技術者達の顔色が変わる。

どうやら戦艦であたりのようだ。

戦艦のAIにアクセスして詳細を調べようとする。

「未登録の端末からのアクセスを確認しました。機密保持の為、全システムをロックします」

「普段はめちゃくちゃなのにこういうところはしっかりしてるんだね・・・」

「ふん。当然じゃろ」

「正直に話してくれるなら罰を軽くしますよ?」

「そんなことで、秘密をばらすような真似はせん」

中々、強情である。

「仕方ない。この手は使いたくなかったけど・・・」

俊がヴィービルに連絡を入れると明石のアバターと共にヴィービルが飛んできた。

「ふ~ん。ハッキングねぇ。丁度よい訓練になりそうですね。明石、やってみなさいな」

どうやら明石がハッキングをするようである。

「ふむふむ。なるほどなのです」

「何かわかったのかな?」

「私やヴィービルお姉ちゃんの模倣なのです。でも、未完成で可哀想なのです」

「明石やヴィービルみたいな存在がポンポン増えても困るんだけどなぁ・・・」

「そうですね・・・。人類の手に余るAIが増えるのは・・・」

マーチェも困り顔である。

「マシター。私は新しい仲間がほしいのです。ダメですか?」

明石は可愛い顔をこてんと倒しお願いしてくる。

技術者達はあまりにもうるさいので親衛隊により隔離されている。

「はぁ・・・。ヴィービルに確認があるんだけど・・・」

「なんでしょうか?」

「接し方次第と言っていたけれど、過去に問題が起きた事例は?」

「そうですね・・・。色々あるにはあるけれど・・・」

ヴィービルは過去に起きた事件を話しはじめた。

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