第112話

父であるカールは叔母であるフランチェスカさんに連れられこの星系を去ることになった。

惑星開発艦は残ったままであるが、父であるカールが連れてきた護衛艦も引き上げることになる。

親衛艦隊が新たにやって来たが、基本的に俊の護衛だ。

自由に動かせる戦力ではない。

最近では宇宙海賊の出没頻度も上がっている為、戦力を整える必要がある。

従業員の中から希望者をつのり、新たな艦隊を作ることにした。

今は明石のシミュレーターにて、艦隊指揮の基礎を習得してもらっている。

駆逐艦の数は余裕があるが、旗艦となる軽巡洋艦の数が足りていないので急造している最中だ。

後は、明石の工作機能の一部はヴィービルが占有している。

古代文明の技術を習得するのに必要な作業を明石のAIに学習させているそうだ。

ヴィービルのお願いで技術者達にはヴィービルの存在は秘匿されている。

過去に修復作業をした際、色々あったそうで、ヴィービルは技術者達を信用していないようだ。

俊としても色々やらかされると困るのでできる限り協力する予定だ。

今は、戦艦を造っているので問題ないが暇になったら何をするかわからないのが怖いところである。

「さて。俊様。色々、進行中ですが出来ることをしましょう」

基本的にはマーチェが行政の各機関と調整してくれているが、全てを任せるわけにもいかない。

父であるカールが抜けたことでかなり楽をさせてもらっていたのだと実感する。

「ごめんね。教えながらだと、効率が悪いでしょ?」

「いえ。わからないことはどんどん聞いてください」

マーチェは嫌な顔をせず教えてくれる。

同い年のはずだが、マーチェは優秀である。

「俊様は、飲み込みが早いですよ」

「そうかな?」

「えぇ。私は数年かけて理解しましたから・・・」

まぁ、実地で覚えざるを得ないという状況もあるのだとは思う。

「あぁ・・・。またですね。冒険者組合から応援要請です」

「とりあえず、2部隊まわせるかな?」

「待機中の部隊をスクランブル発進させます」

5部隊編成されている艦隊はほぼフル稼働状態だ。

冒険者も頑張ってくれているが、宇宙海賊の数がかなり増えている。

状況によっては宇宙生物を倒しに行っている皆を宇宙海賊の討伐にまわさなければならないかもしれない。

宇宙生物由来の物資は不足気味なので、出来れば避けたいのだが・・・。

教育中の従業員と造船中の軽巡洋艦の完成が待たれるところだ。

本当に宇宙海賊とは迷惑な存在である。

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