第111話

食事を楽しみつつ、フランチェスカ叔母さんから父であるカールやドリトルさんの昔の話を聞いていた。

父であるカールは統治には興味がなく昔から趣味に走っていたそうだ。

そして、ドリトルさんは万能戦艦ヴィービルでの活躍もすさまじかったが、ヴィービルを手に入れる前から各地で名をあげた傭兵だったそうだ。

宇宙海賊達は今だに、ドリトルさんを恐れてるらしい。

「父さんはともかく、ドリトルさんって凄い人だったんですね」

「もう・・・。恥ずかしいからやめてほしいわん」

体をくねくねさせている。

お姉系でなければさぞかしモテただろう。

「そうは言うけど。君も十分ヤンチャだからね」

父であるカールは反撃を試みる。

「自覚はあるわね。そもそも普通の神経では金融機関の長なんてやってられないもの」

「貴方が命を狙われたのもその関係だものね」

「馬鹿はどこにでもいるものさ。よりによって君を狙うなんてね」

「あの頃はまだ駆け出しだったし、マーキュリー家の名前を出したくないって意地を張っていたからね」

「どういうことですか?」

「マーキュリー家は公爵家だからね。その名前を使えば、大抵のことは出来てしまう。この子は、それを隠して自分の力を示したかったのさ」

「その為にはじめたのがビビット金融ね」

俊としても思うところはある。

現、マーキュリー公爵家当主である父カールもそうだが、皇族であることで様々なサポートを受けている。

そのサポートを最大限に使えば何でもできてしまうだろう。

とは言え、俊は楽をできるなら楽をしたい派である。

自分の力の証明とか言って危険を冒すつもりもなかった。

守らないといけない人達もできてしまったし・・・。

「あぁ・・・。そうだ。言い忘れてたわ」

「何でしょうか?」

「マーキュリー家の馬鹿達の一部が行方をくらませたわ。捜索はしているけれど注意してね」

「そんなに危険な相手なのかい?」

「持ち出した艦が問題ね。ヨルムンガンドが行方不明なのよ」

「あの欠陥艦を持ちだすとは・・・。後先を考えていないようにも見えるけど」

「私もそう思うけれど、攻撃力だけはあるもの」

「確かにね」

「どういう艦なんですか?」

「攻撃力をひたすら求めた戦艦なのだけどね。主砲を1発打つだけでエネルギーをドカ食いしてシステムがダウンするのよ」

「なるほど・・・」

「試作型のブラックホールエンジンに換装していたような・・・」

「それって、エネルギー不足が解決してるんじゃ?」

「そうでもないわよ。試作型のブラックホールエンジンはいつバランスを崩して内部崩壊してもおかしくないの」

「うわぁ・・・。それはそれで欠陥品じゃないですか」

ブラックホールエンジンが暴走すれば生み出したブラックホールに全て飲みこまれる。

暴走すれば助かる道はなかった。

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