第57話

父親であるカールにもらったデータに基づき、工作艦明石は大改修が行われていた。

元々、明石は大きな艦だったのだが、さらに大きくなる予定だ。

採掘作業は続けているが、明石の改修に全ての工作機を投入している。

それでも、明石の改修作業が終わるのは1か月後である。




楓は俊の告白後も、特に変わりなく過ごしている。

告白が夢だったのではないか?

と思わせるぐらい自然体だ。

それとは別に、ハルカをはじめ、雇っている従業員達に変化があった。

なぜか、過剰なスキンシップが増えた気がする。

理由を聞いてもその理由は教えてもらえない。

俊もお年頃の男子であって、意識をしてしまう。

今のところは、我慢できているが、いつ爆発してもおかしくない。

俊は資源を売りにいくという建前でステーションに逃げてきていた。

俊は、採掘ギルドで資源を売り居酒屋へと向かった。

困った時は大人に頼るべきだ。

というわけで、ドリトルさんとアズマに相談に乗ってほしいと連絡を取っていた。

居酒屋に着くと、ドリトルさんとアズマはもう来ていた。

「先にはじめてるわよん」

「お待たせしてすみません」

「いいって、お前には世話になってるからな」

俊も席に着き、適当に注文をする。

「それで、相談って何かしらん?」

「最近、従業員のスキンシップに困ってまして・・・」

「ふぅん・・・。そう言えば、貴方の所の従業員って全員女の子だったわねん」

「難しく考えなくてもいいと思うけどな。異性と同じ艦に乗るってことはOKってことだしな」

「えっ?」

「なんだ。知らなかったのか?そういう問題は結構めんどくさいからな。俺の所はそれが嫌で、男だけで固めてるんだよ」

「アズマさんは、そういう経験があるんですか?」

「まだ、駆け出しの頃にな・・・。最後は取り合いで殴り合いの喧嘩になった」

「うわぁ・・・」

「まぁ、結局は、貴方の選択次第じゃないかしらん。無理矢理関係を迫ってくるような子はいないと思うわよん」

「それに、お前は出自が出自だしなぁ・・・。一夫多妻なんて珍しくない」

「そうねぇ・・・。子供を作るのは義務みたいなもんよね」

2人はそんなことを言ってくる。

「子供なんて、考えたこともないですね。2人はどうなんですか?」

「私はこんなんだからねぇん。受け入れてくれる人がいればいいんだけどん」

ドリトルさんはドリトルさんで苦労しているらしい。

「俺は、仲間を食わせていくだけで精一杯だよ」

アズマはそう言い切った。

俊の場合、お金は十分にある。

結局のところ、俊の気持ち次第ということなのだろう。

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