第45話

俊は、1人でステーションをぶらぶら探索していた。

気の向くまま、様々なお店を覗き、気に入ったものがあれば購入する。

頼めば、大型輸送艦まで配送してくれるので、荷物で手がふさがるということもない。

前方になにやら、人が集まっているのが確認できた。

よくみれば中心にいるのは、ハルカだった。

「お~い。ハルカ」

「あっ。俊さん、いい所に」

「どうしたの?」

「この子達は、養護施設の後輩なんですけど、就職先を探していて・・・」

何となくハルカの言いたい事がわかった。

「雇えばいいのかな?」

ハルカの近くにいた、1人が驚いて聞いてくる。

「えっ?雇ってくれるの?」

「うん・・・。まぁ、最初は見習いとして賃金は下げさせてもらうけど、それでいいなら・・・」

「ありがとうございます」

「頑張ります」

次々にお礼を言ってくる。

確認したところ、全員女の子で20人いた。

就職先が見つからなければ、大人のお店ぐらいしか就職先がないとのことで、全員よろこんでいた。

「さて、そうしたら、必要な物を買いに行こうか」

「頼んだのは私ですから、お金は出しますよ」

ハルカはそう言ってくるが、20人分も出したら、ハルカの貯金はすっからかんになるだろう。

「いいよ。僕が出すから。必要経費だしね」

そう言って、ハルカを納得させた。




女の子ということで、新たに雇うことになった子は、色々買い込んでいた。

ハルカは終始、申し訳なさそうな顔をしていたが、俊としては痛くもかゆくもない。

集合時間となったので、全員で待ち合わせ場所に向かう。

他の子達もすでに集まっており、俊達が最後だった。

「なんか増えてない?」

楓がそう突っこんでくる。

「ハルカの後輩の子達だよ。見習いとして雇うことになったからよろしくね」

「よろしくお願いします」

そう言って新規に雇った子達が頭を下げる。

「俊が決めたことならいいけど・・・」

そう言って楓は引き下がった。

連絡艇に分乗して、大型輸送艦に乗り込み、ステーションを後にする。

移動の間に、ハルカは新しく雇った子達に、仕事の内容を説明していた。

その内容を聞いて、新しく雇った子達は安心していた。

まぁ、基本はAI任せで、難しい作業とかは必要ない。

それに、養護施設では宇宙船の操作は1通り学ぶそうで、基本的な知識はあるそうだ。

それでも、彼女達が仕事にありつけなかったのは、男の子の方が雇われやすいという背景がある。

これは、狭い宇宙船の中に、女の子がいると風紀が乱れやすいという理由からだった。

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