第31話
楓は、1週間の保護観察を受けることになった。
だが、それは名目だけで、実際には、この宇宙で生きていく上で必要なことを学ぶ期間だ。
俊も、有耶無耶になっていたが、この宇宙のことには疎い。
ということで、楓と共にこの宇宙について、学ぶことになった。
「へへ。俊と一緒だ」
「そんなに嬉しいの?」
楓との仲はここ数年、良好ではなかったはずだが、再会してからべったりだった。
「ハルカ。色々、任せちゃってごめんね」
「いえ、必要なことですから。1週間後に迎えにきますね」
「うん。お願い」
ハルカは連絡艇に乗り込み去って行った。
「ねぇねぇ。今の可愛い子とはどういう関係なの?」
「う~ん・・・。雇用主と従業員?」
「なんで、疑問形?」
「まぁ、仲間っていう方がしっくりくるかな」
「そうなんだ・・・」
「これからどうする?」
「とりあえず、お買い物に行きたい。洋服とか着替えたいし」
「わかったよ」
楓に付き合い、買い物に行った俊は後悔することになる。
買い物はかかった時間は、6時間である。
買い物を終え、指定された建物に入る。
「お待ちしておりました」
担当してくれる職員は丁寧に接してくれる。
これは、俊の素性を知っているためである。
「お世話になります」
「よろしくお願いします」
「まずは、お食事を用意しておりますのでご案内します」
職員に案内され、食堂に入る。
用意されていたのは、白米に味噌汁。
それに野菜炒めだった。
「量が少なくてすみません」
「いえ、食べなれた物を用意していただけだけでも十分です」
宇宙ではレーションだけで済ませる場合も少なくない。
日本食を用意してくれただけでも嬉しかった。
「久しぶりのちゃんとした食事だ」
楓はどうやら定期的にレーションと水を渡されていたようで感激していた。
「いただきます」
「いただきます」
こうして、楓と同じ食卓を囲むのは何年ぶりだろうか。
昔は両家をよく行き来して、ご飯を食べるなんて当たり前だったのに・・・。
「どうしたの?」
「いや、懐かしいなと思って」
「そうだね・・・。ごめんね。変な意地を張ってたんだ」
「意地?」
「うん・・・。俊と一緒にいるのは嫌じゃなかったんだ。でも、周囲から色々言われるのが恥ずかしくて・・・」
「嫌われてなかったってだけで十分だよ」
「ありがとう」
お互い無言で食事を食べ始める。
言葉はなかったが、一緒に居られる。
それだけで心地よかった。
食事を終え、それぞれ泊まる部屋に案内された。
楓はまだ、話したりなそうにしていたが、明日も早いということで挨拶をして別れた。
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