第24話

「アズマさん」

俊はアズマに声をかける。

「よう。悪いな、こんなところに呼びだして」

「いえ、それはいいんですけどね。お仕事ですか?」

「いや、従業員を雇おうとしてきたんだが・・・。巻き込まれた」

「それはまた・・・」

アズマさんは不幸体質なのかもしれない。

が、根はいい人なのだ。

「お前達に来てもらったのは相談があってな・・・」

「相談ですか?」

「お前ら、相当稼いでるだろ?奴隷の一部を買わないか?」

「奴隷をですか?」

「お前のところの艦はAIで操艦されてるだろ?数が少ないうちはそれでもいんだが、ある程度の規模になったら人を乗せた方がいい」

「なるほど・・・」

AIは優秀だ。

だが、全ての艦をAIに任せるのは危険かもしれない。

電子攻撃の対策は施されているが絶対ではない。

まとめて、操られたりしたら、危機に陥ってしまう。

対策の為には人が乗り込むのが一番だ。

「ってわけで、ゴードンさんよ。何人か譲ってはくれないか?」

「金さえ、払ってくれればいい。好きにしろ」

「言質はとったぜ?リックスちゃんも雇用主が変わる。それで、納得してくれないか?」

「待遇が少しでもよくなるなら問題ない。でも、待遇が悪かったら許さないからな」

「その辺はわかってるさ」

「ハルカ。どの子を雇うかは、任せてもいい?」

「えっ?私が選んでもいいの?」

「うん。仕事仲間になるわけだからね」

奴隷の良しあしなんて自分にはわからない。

なら、少しでも知識のあるハルカに任せた方がいいだろう。




しばらく待っていると選び終わったようだ。

「俊さん。この子達にします」

端末にデータが送られてくる。

全員で50人もいる。

「こんなに雇うの?」

「ダメ・・・ですか?」

下から覗き込むようにハルカが言ってくる。

その表情は卑怯だと思うんだ。

「はぁ・・・。ちゃんと面倒をみるんだよ」

「はい。任せてください」

「そっちも決まったか」

「はい」

ゴードンに対して代金を支払う。

「確かに金は受け取った。用が済んだら出て行ってくれ」

追い出されるように建物を出る。

「ハルカは雇用する子達の相手をお願い」

「わかりました」

「アズマさん。これ、セキュリティーキーです」

暗号通信で頼まれていた駆逐艦のセキュルティーキーを送信する。

「確かに受け取ったぜ。俺も引き取った連中の相手があるからもう行くぜ」

「はい」




俊は大型輸送艦にある資源を売る為に、久々に採掘ギルドを訪ねた。

「あら、久しぶりね」

「シュンミンさん。お久しぶりです」

「資材の売却かしら?」

「えぇ。お願いします」

俊は端末から持ってきた資材のデータを送り査定を待つのだった。

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