第4話

この辺りは無人地帯と思っていたがそうでもないらしい。

採掘艦と思われる艦が何度かやってきていた。

幸い、相手のレーダーの能力が高くないのか発見されてはいないが、このまま艦船の数が増えれば隠れ続けるのも難しいだろう。

現在の保有戦力は次の通りだ。

万能工作艦1艦。

戦闘機100機。

航空母艦1艦

駆逐艦5艦。

大型輸送艦1艦だ。

今は、艦船の製作を一時止めて、大型輸送艦に資材を貯め込んでいる。



ビービー。

何度も聞いたアラートが響く。

レーダーを確認すれば採掘艦と思われる艦が1艦、こちらに向かってきている。

運の悪いことにどんどんこちらに近づいてくる。

このままでは気付かれるのも時間の問題だ。

念のために各艦を戦闘配置につける。

相手のレーダーでも確認されたのか動きが止まった。

「マスター。相手から降伏信号です」

「どうしよう・・・」

「接触するしかないかと」

俊は覚悟を決めて駆逐艦1艦を向かわせた。

相手の採掘艦は誘導に従い、ゆっくり近づいてくる。

「マスター。相手は通信を求めていますが?」

「あぁ・・・。うん。繋いで」

ノイズなどなく通信はすぐに繋がった。

目の前には狐耳を生やした少女が映っていた。

獣人って奴だろうか。

ピコピコ動く耳が可愛い。

「こちらはハーリー星系。採掘ギルド所属の採掘艦、ローズです」

「こちらは・・・。って、所属ってどうしたらいいんだろう?」

「マスター。一応、この艦の所属はマーキュリー家となっています」

マーキュリー家とは父親の実家だ。

「えっと・・・。マーキュリー家所属、万能工作艦明石です」

「マーキュリーって。あの?そんな家の所属艦がこんなところにいるなんて・・・」

マーキュリー家は惑星を複数所持し、貿易なんかも盛んに行っている為、知名度もかなり高い。

「まぁ、色々あってね・・・」

俊はそう言葉を濁した。

気づいたら宇宙に放置されたなんてどう説明したらいいものか。

「えっと・・・。私はどうしたらいんですか?」

「こちらに攻撃の意思はありません」

「よかった・・・。あの・・・。採掘させてもらっていいですか?」

「どうぞ」

元々、こちらに所有権などないのだから自由に採掘してもらっても問題ないだろう。

「助かります。採掘できなかったら赤字になるところでした」

何やらこの少女にも色々、事情というものがありそうだ。

AI相手の会話では手に入らない情報を色々聞き出すのもいいかもしれない。

俊は採掘の邪魔にならない程度に少女に話しかけ情報収集を試みた。

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