第一話 - milk tea. -

今日も、また怒られるだけの「死生」なんだろうか。


結局学校に行って適当に笑って勉強して。ご飯食べてちょっと遊んで掃除して終わり。何も変わったことも変哲のあることも起きない。

みんなはキラキラしてて青春生活を謳歌してるのかもしれないけど、私はそんなふうにはいかなかった。最初は、みんなと同じように、楽しく買い物行ったり、メイクしたり。いろんな人と話したり。班活動頑張って褒められて賞でももらえるんじゃないかな、とも思っていた。



でも、そんなに現実は甘くない。クラスには私より可愛い子もいるし、勉強できすぎる人もいる。人の転がし方が上手い人もいれば、話し方が上手い人もいる。

何もできないまま、もう1学期が終わり、気づけば2学期さえ終わろうとしていた。




「えー、じゃあこのプリントやっておけ」

今日も社会の授業が終わる。社会なんてやって何の意味があるんだろう。地理はその都度調べれば出てくるし、歴史だって社会に貢献しないのならば学ぶ意味がない。ただホワイトボードにまとめてコミュ力を磨くだけ。私にコミュ力なんて必要ない。最低限の最低限だけで生きていけるのだから。

その後の数学の授業もつまらない。つまらない、というよりは、感情を持たなかった。難しいとも簡単とも楽だともめんどくさいとも思わない。目の前にある課題を終わらせて将来の負担を減らすだけ。


これからも、これを続けて、起伏のない平坦な人生を送る。

そう思っていた。




「またやったのかお前は!!!!」

やはり今日もこうなる。母が怒鳴り散らしている。

それを宥めようと塩をかける父。

いつも通りの日常をなんだかんだ何も思わずに生きている。





こんな日常、消えて仕舞えばいいのに。

でも、カッターもハサミも刃物系は全て家から抹消した。母が何をするかわからないからだ。リスカもできないし、ODすらできない。

そんな昼間なのに真っ暗な人生の中、仕方なく自分がしっかりして生きている。



「お母さん、ちょっとストップしよ?」

そう声をかける。かけるしかないからだ。

「これ以上やったらお金なくなるしお酒飲めないし家壊れちゃうよ?」

そう助言したが、何も起きる気配はない。言葉を言った途端、母は私に向かって2Lの瓶を投げつけてきた。幸いにも左手で守ったので少し欠片が刺さっているくらいで済んだ。血が少し垂れてくる。このままでは食い込む、と急いで欠片を腕から抜いた。少し鈍い痛みと共に欠片が飛び出す。破片は腕の中に残っていなさそうなので、とりあえず腕を母の前に見せつける。

「関係ない人をこうやって痛めて何が楽しいの?」

そう言って、母を無理やり抑え込み血を飲ませる。


「………」

母は何も言わず、失神して泡を吹いた。前はこれで涙を流して一瞬だけまともになったのに。新しい解決策を考えないといけないようだ。



もう、こんな世界終わってほしい。なんで自殺できないのか。少なからずあの人に親という目線で見ていたからだ。あんな人を放っておけば社会崩壊しかねない。だから、それを防ぐために今日も無惨な道を歩くしかない。

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