源平合戦の真実~あるいは、色々と盛り過ぎな義妹に翻弄される源氏当主のラブコメ的苦悩~

烏丸英

巨乳派平家の台頭による戦乱の幕開け

 ……今より昔、後の世で平安時代と呼ばれる頃。

 この時代の日本を支配していたのは、平家と呼ばれる一族であった。


 その筆頭とも呼べる男の名は、平胸盛たいらなむねもれ……後の世で稀代の大悪人とも、生まれる時代を間違えた男とも呼ばれる英傑である。

 野心あふれる胸盛は、自らが率いる平家の力を総動員してとある禁忌の薬を作り出してしまう。


 それこそが、現代に蘇らせることができたならばノーベル賞の受賞は間違いないと呼ばれる秘薬、【胸盛丹むねもりたん】。

 平家当主の名を冠したこの薬を一粒飲めばあら不思議、どんな女性もたちまちに胸が育ち、それはもう立派な巨乳になってしまうというのだ。


 胸盛はこの薬を自分の娘たちに飲ませ、更には自国の領民たちにも飲むことを命じた。

 結果、平家の領地に住まう女性たちは皆、巨乳揃いとなったのである。


 無論、これはただの悪ふざけではない。胸盛が覇権を握るために必要なことだ。

 何を隠そう、当時最大の権力者である天皇は超が幾つも付くほどの巨乳好きだったのである。


 その天皇にとって、見事な巨乳を誇る胸盛の娘たちはあまりにも好みにドストライク過ぎた。

 あれよあれよという間に彼のお気に入りとなった胸盛は巨乳にした娘を天皇に嫁がせ、権力を握ってしまったのである。


 そうして天皇の後ろ盾と力を得た胸盛は、開発した秘薬を女性たちに飲むことを強制した。

 これまた何を隠そう、彼や彼が率いる平家の男たちは皆、天皇に負けないくらいの巨乳好きだったのである。


 本人が望んでいるかどうかなど関係なく、一定の歳を超えた女性たちは皆、胸盛丹を飲まされて否応なしに巨乳にされた。

 そのことを喜ぶ女性も多くいたことは確かだが、強引に巨乳にさせられたことを悲しむ女性たちの数も少なくはない。


 平家のあまりにも女性を軽視している行いには反感が強まり、強大な権力を持つ胸盛に対抗する男たちが名乗りを上げた。

 それこそが源氏……女性は生まれた時のまま、源のままが美しいという主張をする一派だ。


 「おっぱいはデカい方がいいに決まってんだろ、この馬鹿どもが!」という主張をする巨乳派の平家と「無理に育乳するのはいくない。あと、お前らちっぱいの良さがわかんねえの? かぁ~! つっかえ!!」という平家の体制に逆らう源氏の対立は日に日に深まり、ついに戦争が勃発。

 日の本が誇る二大勢力のぶつかり合いを制したのは……巨乳大好き平家だった。


 なんだかんだで男は性癖とおっぱいに逆らえない生き物、自国領民が巨乳揃いである平家の兵士たちの士気は源氏の想像を超えて高まっており、その勢いに圧倒されてしまったのである。


 「日本全国の女性たちを全員巨乳にするんだ!」という下半身に正直な欲望をスローガンに掲げた平家は源氏を圧倒。

 後に『平治の乱』と呼ばれる戦いは、胸盛率いる平家の圧倒的な勝利で終わった。


 最大の敵対勢力を黙らせた平家はそこから更に精力……じゃなくて勢力を伸ばし、女性たちを巨乳にしていく。

 「ぺったんことかちっぱいとかレアっぽい名前付けるなって、ただの貧乳だろ? 平らな胸の女は人じゃねえから!」という胸盛の言葉が、この時代の日本の状態を的確に表しているだろう。

 ※この言葉は「平家にあらずんば人にあらず」という形で後の世に伝わった。


 そこから平家は次々と女性たちを巨乳化し、その暴虐な行いには日本中の人々たち(巨乳好きの男と一部女性は除く)からの怨嗟の声が飛んだ。

 その声に応えるように、平治の乱から二十年ほどの時を経たある日、源氏は源友頼みなもとのともよりを新たな当主に据え、平家にリベンジマッチを挑んだのである。


 だがしかし……やはり男はおっぱいが大好きな生き物、今回も源氏は士気が高過ぎる平家の兵を相手に苦戦を強いられていた。

 またしても巨乳好きな男たちの前に自分たちは敗北を喫するのか……と、源氏内に諦めムードが漂い始めた頃、友頼の下にある報せが届く。


 この一報こそが、源氏と平家の二度目の争い……源平合戦の流れを大きく変える節目となることを、この時の友頼は知る由もなかった。


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