異国での私の経験〜独身時代の若気の至り
ありま氷炎
第1話 異国でバス無料乗車(運転手の好意)とヒッチハイク。
これ、あぶないやん。
あるエッセイを読んでそう思い、思わずX(Twitter)でぼやいたくらいだ。
それは東南アジアでの小さな冒険談。いやミステイクか。
それで、私はふと思い出した。
私もいくつか、あぶないことをしてきたなと。
どうせなら、書いてみようと思い、筆をとることにした。
今から二十数年ほど前、大学を卒業し、就職活動に失敗した私は田舎で事務員のバイトをしていた。
職場恋愛の上、失恋、しかも相手と毎日顔を合わせないといけない日々にクサクサしていた私は、母から聞かされた話に飛びついた。
母の親戚が東南アジアで会社を経営しているのだが、人手が必要ということ。
私はここから飛び出せるならと、英語嫌いにも関わらず、東南アジアへ渡航することにした。
親戚の会社は女性ばかりで皆いい人だった。
まあ、ボスの親戚には媚を売るよなあと今は思う。
しかも皆さん日本人で、当時英語はほとんど話せなかったのに、私はなんとかお手伝いをできていた。
そんな中、現地邦人向けのコミュニティで、同年代の集まりがあることを知り、私は参加した。
当時二十代前半であったが、現地や、隣国の人と結婚した人、私のように現地採用の人、はたまた駐在員。同年代ながら、いろいろな人がいて楽しんだ。
私は飲んだ。ぐでんぐでんに。
そして、精算を終わらせ気がついた。
お金がない。
いや、ある。
だが、硬貨ばかりなのだ。
他の人たちはタクシーを拾って帰る。
私は自分の小さな矜持を馬鹿みたいに守り、お金を貸してくれと言わず、バス停でウロウロする羽目になった。
最終便はすでに出ている。
だけど、奇跡のように一台のバスが来た。
私は手をあげ、飛び乗った。
すると誰も乗客はいない。そんなことに酔って気がつかない私は、お金がないけど、家の近くのバス停まで送ってくれるかと聞いた。
拙い英語だったが、なんとか意思疎通はできた。
そしたら運転手はいいよと軽く頷いた。
二人っきりのバスの中、運転手は色々聞いてきた。
彼も英語を母国としていないので、使う英語はシンプルなものだ。ゆっくり話すので聞き取ることもできた。
しかし、あまりにも熱心に聞いてくるので怖くなって、私は下車した。
その時に携帯電話の番号を聞かれ、嘘の番号を教えた。
そうして降りたはいいが、場所がわからない。
そのバス停をうろうろしていたら、一台のバイクが止まった。
乗っていたのは人の良さそうなおじさん。
これも身振り手振りで、お金がない。家に帰りたいと伝える。住所は番地は教えず、通りの名前だけを伝えた。
そうしたら後ろに乗りなと言われ、おじさんの後ろに乗ることになった。
あっという間に家の近くの通りまで着いて、降りようとした時、おじさんにお礼にキスしてほしいと言われた。
迷った挙句、頬にチュッとキスをしたら、それで納得してくれたみたいでいなくなった。
翌日自分の素行を思い出し、壁に頭を打ち付けたくなった。
それから数日、バスの運転手とおじさんライダーを見るとドキドキしたものだ。(怖い意味で)
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