第4話 初交流
こんなはずじゃなかったのにな。新天地横浜に来てから新しい会社もまだ指を折って数えるほどしか勤めてなくて、週末の昨日今日でやっと引っ越しが終わり餃子パーティーを一人でする位には慌ただしい一週間だったのにお隣さんの家の中へといきなり招いてもらえたのは流石に段取りというかマニュアルがぶっ壊れてしまっているだろう。
事実、俺は彼女が出してくれたウェルカムドリンクのあったかい紅茶を飲んでいる。隣には美味しそうにビール片手に俺が作った餃子を頬張っているお隣さんという体の恵体白人女性がいる。そしてどことなくいい匂いが漂う普通のOLの、そして女子の家だああああああ!おっと失礼スパイなのに取り乱しました。スパイも普通の人間なんです。
しばらく彼女は餃子を食べて何か思い出してるのか、噛みしめようとしているのかわからないけど悶々としていた。
やがて「美味しいでス。」と言ってくれた。
人に作った料理を褒められるのは気持ちいいもんだ。
中国では餃子というと水餃子ばかりなので勿論、水餃子もおいしいんだが、どうしても焼き餃子の味が恋しくなり留学中の自炊では何度も自分で試行錯誤して研究していたのでそのかいがあったもんだ。
「良かったです。お気に召さないかなとお見えになったので、」
やはり言うのを渋るような形で彼女は
「以前宇都宮に住んでいてそこの味を思い出したんです。」と言った。
なるほど宇都宮の餃子かぁ…てか俺の餃子はどうやら宇都宮餃子と同格らしい。リィップサービス甚だしい姉ちゃんだぜ、この野郎♪
「どうして宇都宮にいたんですか?」やはり気になったので聞いてみた。
彼女はやっぱり渋りながら
「…う〜ん、語学学習、ですかネ…」と答えた。
「お陰で餃子はmy favoriteの一つですヨ♪」
彼女が笑顔になったのを見て俺も嬉しくなった。
「ところでお名前はなんですカ?」
そういえばそんな段階か。いろいろすっ飛ばしすぎてわかんなかったぞ。
「
「みちる…ミシェルみたいで良いですネ!私はオランダにルーツがあるんですが、オランダはヨーロッパの中で特に"ミシェル"って名前の人が多い国なんですヨ!」
「そうなんですか!中国の時は苗字がよかったけどなぁ、」
「中国?」
そこから俺は中国のエピソードを話した。勿論スパイの話以外。
以前中国にいた頃、中国人の友達からチョウポやチョーさんと呼ばれていた。どうやら中国では
「そちらのお名前は?」俺は聞いた。
「Oh...私の名前はケイラー・ジュディーでス。」
その後は彼女の話を聞き彼女の生い立ちなどについて親睦を深めた。
一通り彼女が話した後もたわいもない会話は続き、いつしか彼女は餃子を完食した。そして日本の夏の話になり…
「やっぱり日本の夏は暑いですか?」
俺は無防備すぎる彼女の服を前にしてついに思っていたことを口にしてしまった。
「ホントにそうなんです。気温が高いだけじゃなくてへばってしまう暑さですよね。」と言った。日本の夏を形容する時によく用いる表現だが、実際本当で海外の暑さと種類が違う。
「この部屋は冷房が効いてて涼しいですけど、俺の部屋は引っ越したばかりなので冷房がないんですよ。来るまでの辛抱ですね(笑)」と言うと彼女はおもむろに近寄って俺の耳元にとんでもないことを囁いた。
「Shall you stay here tonight?♡」と。
(この物語では、虚実な団体、特定の国の名前をお借し一部、信憑性が極めて低い内容を書いていますが、全て物語を楽しむ上でのフィクションですので安心してお楽しみ下さい)
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