るりとうわた
國﨑本井
キャバリアの飼い主
ぼーっとして動けない
きっと私は眠いのだろう。目をつぶれば寝れる。
でもまだ寝てはだめだ。ここはこたつだから。
自分の部屋に戻らなくちゃ。
今日は少し荷物が届いた。これを運ぶのだが、少し億劫だ。自分の部屋は2階だから、急な階段を登らなくてはならない。
しかも私の部屋には暖房がない。ゼロ度くらいのとても寒い部屋だ。
最近ベットをやめて押し入れに布団を敷いた。青いたぬきになりたかった。夢を見れば楽になれると思った。
一週間前恋人を降った。理由は答えずなんとなくと言った。
自分でも離れたい理由は分からなかった。それでもそばに居るべきでないと思った。さらに昔の恋人の話を持ち出して、きっと嫌われてしまったと思う。
今思うと、別れたかった理由も前の人の話をしてしまった理由もはっきりとわかる。
自分ばかり依存していて辛かったのだ。ずっと余裕を心がけていたのに、最近全然余裕なんてなくて、心配とか迷惑ばかりをかけていた。だからきっと別れたのだ。少し気持ちをリセットしたかった。
恋人は、案外あっさり別れてくれた。少し寂しかった。少しは引き止めて欲しかった。だから、ほかの人の話を出せば、怒ってくれると思ったのだろう。
ばかばかしいな。
とてもめんどくさい。
意外とあの人がいない日々は何とかなった。
それでも、一緒にいたいという思いは変わらなかった。
少しずつ
何かがかけていく。
あの人がいない寒い日は嫌いなのだ。
どうしよもなく目が冴えて、
凍えるほどに手足が冷える。
脳の隅まで凍ってしまいそうになる。
怖いのだ。消えてしまいそうで。
あなたがいないことを、感じてしまうのだ。
あなたがいる暖かい日を過ごしたかった。
でもやっぱり暑い日も嫌いだ。
暑さに溶けて、だらだらしてるとき、
あなたの声が聞けない夏は、嫌いだ
蝉の音のなかに、あなたの声がないのは、
落ち着かない。
好きな人に甘えるとか。
振り向かせたい人に甘えるとか、そんな馬鹿なことをしたようだ。
なんだ分かれば簡単なことじゃないか。
るりとうわた 國﨑本井 @kunisaki1374
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます