聞いてくださいよ魔王様

みなと劉

第1話

吾輩は魔王である。名前はドゥーム。

そんな吾輩は今、魔界の城に戻ってきていた。

先程まで人間どもが攻めてきておったのだがなかなかにしぶとかったのだ。おかげで少しばかり手間取ってしまったのだよ。

「あー、疲れたのですわぁ」

吾輩の横で一人の人間がぐったりとしている。

この人間は最近になって配下に加わった者だ。

名前はミスティだったはずだ。

そういえば名前を覚えるのに苦労した記憶があるぞ。

「ミスティよどうしたのだそんな疲れた顔をして」

「聞いてくださいよ魔王様」

「うむ、聞こうではないか」

とりあえず話を聞いてやるとしようか。

「今日の戦いで勇者たちが使う魔法を覚えたんですよ!」

何? それは聞き捨てならないな。

一体どんなものだったのか気になるところなのだよ。

是非とも詳しく聞かせてもらいたいものだ。

「ほうそれで?」

「その魔法の効果はですね! 1分間だけ全ステータスを150%アップさせてくれるという効果があったんです!」

「なんとそれは凄いな」

なるほど確かにそれは強いだろう。

ただでさえ高い身体能力に加えてさらに強化されるわけだから非常に強力なものといえる。

だがそれだけならそこまで驚くほどのものではないかもしれないし他の能力も上がるはずなのでそれほど騒ぐようなことでもないと思うのだが。まあいい話を続けてみることにしよう。

それにしてもこのミスティには期待しているからこそあまり強くなって欲しくないと思っている自分がいることに気づくことになるとは思わなかったぞ。

我ながら複雑な気分になってしまったものである。

「だが1分だけとは短いな」

「そうでしょう。もう少し何とかならないかな」

「それを我輩に聞いてもらいたかったのだな」

「そうなんですよ」

ふむやはりそこが一番気にかかっていたようだな。

しかしこれ以上何か出来るとは思えないのだが。さてどうしたものだろうか。

ここは一つアイデアでも出してみようかね。

とは思ったものの特に思いつかないものだな。

ならばこちらからも質問をしてみることにするとしましょうか。

会話を続けるというのはこういう時に便利だと思うね。

それでは遠慮なくいかせていただきますか。

まずはこの世界のことから尋ねてみるとするかね。

異世界に来てしばらく経つが未だに分からないことだらけだから困ったものだしな。

とはいえこれはこれで興味深いことだともいえるかもしれんがな。

せっかくの機会でもある事だし色々と教えてもらうとしようか。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る