【VRMMO】『ディメリア迷宮を踏破せよ』をプレイしてみる。

庄野真由子

第1話 VRMMO『ディメリア迷宮を踏破せよ』はお金が稼げるゲームらしい

『ディメリア迷宮を踏破せよ』は基本一人プレイ用の迷宮踏破VRMMOだ。

私が迷宮踏破VRMMO『ディメリア迷宮を踏破せよ』を知ったのはSNSだった。


高校生になって、帰宅部になったからバイトでも始めようかなと思って情報収集をしていたんだけど、人間関係とか面倒くさいし、拘束時間が長いのも嫌だなって思って。

バイトしたことない初心者がえり好みなんて出来ないよね……と思っていた時、フォローしている子が言ってたんだ。

「迷宮踏破VRMMO『ディメリア迷宮を踏破せよ』は稼げるよ」って。


VRMMOって、ゲームでしょ?

私がゲームでよく遊んでいたのは小学校高学年くらいまでだし、今はクラスメイトがスマホゲームで課金したりしてる話は聞いているくらいで詳しくないけど、ゲームで遊んでお金が減るのはわかる。

ゲームソフトを買ったり、課金したり、通信料金を払ったりするとお金は減る。

でも、ゲームで遊んで儲かるってどういうこと? って思った。だから調べた。


VRMMO『ディメリア迷宮を踏破せよ』は個人でゲーム機器を買って遊ぶタイプのVRMMOではなく『ディメリア迷宮を踏破せよ』本部という名前のホテルの部屋にVRMMO機器が設置されていて、宿泊料金にゲーム使用料が含まれているということ。


宿泊費用は食事なしで11:00から翌日の10:00まで。ゲームの終了は9:30までになっている。

ホテルには各種レストランや惣菜店、コンビニ等があり、プレイヤーは自費で食事をまかなうことになる。もちろんホテルの外に行って食事をしても構わない。

チェックアウトが10:00までという認識だ。時間にルーズな客は罰金の支払いかブラックリスト入りの上、会員カード解約かを選ばされるらしい。


ホテルスタッフは全員、常に録音状態のスマホを所持して仕事をしているので宿泊客やスタッフ同士の暴言やセクハラ発言があると、注意喚起や直ちに警察に連絡が行くという話も聞いた。

普通にVRMMO『ディメリア迷宮を踏破せよ』で遊ぶために宿泊するプレイヤーが多いから、迷惑行為をする宿泊客は少数派みたい。


宿泊客は『迷宮探索者カード』という会員カードを作り、ホテルに宿泊することでVRMMO『ディメリア迷宮を踏破せよ』をプレイすることができる。

ホテルの部屋は全室一人部屋で、部屋が空いていれば予約無しでも宿泊できる。

一泊5万円(税込み)で、スウィートルームだけは一泊100万円なんだって。ゲーム内では『スウィートルーム宿泊券』をゲットすることもある。


VRMMO『ディメリア迷宮を踏破せよ』で遊ぶのに5万円かかるって時点で普通の高校生はもうダメでしょ。

そこまで調べて私はVRMMO『ディメリア迷宮を踏破せよ』でお金を稼ぐことを諦めた。諦めることも大事だよ。

でも、そこで事態が急転する。


お母さんが、私の宿泊分を払ってくれるっていう話になったの!!

その理由が『お父さんと二人きりで結婚記念日を過ごしたいから』だって。ちょうど今年の結婚記念日が土曜日で、高校が休みだったことも幸いした。

平日、学校がある時だったらたぶん泊まらせては貰えなかったと思う。学校、サボることになっちゃうし。


張り切って『ディメリア迷宮を踏破せよ』本部専用サイトで宿泊予約をした一か月後、お父さんとお母さんの結婚記念日の日曜日がやってきた。

チェックインの時間に遅れたくなかったので、余裕をもって家を出る。


駅に向かって歩きながら、私はVRMMO『ディメリア迷宮を踏破せよ』のことを考えた。

VRMMO『ディメリア迷宮を踏破せよ』で遊んだプレイヤーたちが制作した攻略サイトを見て覚えた情報を思い返す。

VRMMO『ディメリア迷宮を踏破せよ』は動画撮影ができないタイプのVRMMOなので、動画ではなく、宝箱の中身と出現モンスター、アイテムの換金価格が書いてある一覧表を見た。

でも、ディメリア迷宮はプレイヤーごとに構造が変わるゲームシステムだから、地図は全然役に立たない。

『プレイヤーがディメリア迷宮を踏破するまでは』迷宮の構造は変わらないという話だから、自分がマッピングするのは有益だ。

個人的にVRMMO『ディメリア迷宮を踏破せよ』プレイ記録を書いているプレイヤーのマッピングした地図を三人分見たけど、本当に全然構造が違った。

でも一階に出現するモンスターは弱めとか、そういう共通点はあったみたい。


駅に着いた。

エスカレーターに向かって歩きかけて足を止める。

今日は階段を使おう。私は階段を小走りで駆け上がる。VRMMO『ディメリア迷宮を踏破せよ』はプレイヤースキルも重要っていうから、ちょっとだけでも身体を動かしてみる。


中学時代は女子バレーボール部に入っていたけど、高校生になった今は部活には入っていない。

バレー部頑張っていたけど、それでも試合に出れたのは中学三年生の夏、一回だけだった。


他人と比べられて優劣をつけられるって、残酷だよね。


駅のホームで電車を待ちながら、スマホでVRMMO『ディメリア迷宮を踏破せよ』の公式サイトを見る。

私は無課金で遊ぶつもりだから主人公のドーピングはしない予定。

各種能力値はランダムで決定し、納得できなければゲーム内通貨1000Gかリアルマネー1000円でもう一度能力値を決定できる。

二回目以降は『どの能力値が高め』とかそういう指定ができるみたい。


プレイヤーの初期装備は『白い服』だ。いろいろお洒落もできて、変な組み合わせだと魅力値が下がったりNPCの友好度が下がったりする。

たとえば水辺でもないのに水着を着ていると白い目で見られるらしい。でもビキニアーマーだと大丈夫という話は聞いた。

ゲームの中で敵と戦うのはちょっと怖いけど、でも敵の攻撃を受けても痛みは無くて衝撃と怠さしかないみたいだから大丈夫だよね。


電車がホームに入って来た。混んでないといいなあ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る