第485話 245『精霊召喚……?』
翌週、月の日。
アンナリーナたちはポリーナに連れられて領都のはずれにある、神殿のような祠に連れてこられていた。
「こちらはこの領都で精霊との契約を交わすための場所です。
今日は月の日……風の精霊との契約が行えます」
ポリーナを含むアンナリーナたちを先導するのはこの祠を管理している神官だ。
「どうぞ、こちらの席でお一人ずつお願いします」
ちなみに今日、この場所に来ている面々は、アンナリーナ、セト、ネロである。
3人ともバリバリの魔法職であった。
まずはアンナリーナが一段高くなった台に上がる。
そして事前に教えられた通り、魔力を流し始めた。
初めはチョロっと、そして様子を見ながらゆっくりと量を増やしていく。
そしてその魔力を、周りが無視できないほどの濃さになってきた頃、周囲に変化が起こり始めた。
それは初めは些細なものだった。
そよ風程度の空気の動きが感じられ、だんだんと強くなっていく。
そして渦を巻き始めた風は、アンナリーナを中心として完全にトルネードとなっていた。
「これは……一体」
神官が目を瞠り、ポリーナは言葉が出てこない。
この祠で今まで起きたことがない状態に2人が慄いていた時、突然のフラッシュののち風が止んだ。
「よし、我の勝ちだ!
このものとの契約は我が勝ち取ったぞ!!」
そう聞こえてきた声の主が姿を現したとき、神官はそれこそ気を失いそうになる。
さもありなん。
今、アンナリーナの前に現れたのは人型をし、イジたちと変わりないくらいの体格を持つ男だった。
ただ、その背には蜻蛉のような翅がある。
「初めまして、マスター。
我は西風の精霊王、これから宜しく」
なんとアンナリーナ、超大物を釣り上げたようだ。
だが、これは始まりに過ぎなかった。
本来今日は月の日であり、風の精霊を召喚出来る日であったのだが、西風の精霊王が現れた事によって均衡が崩れ【赤】【水色】【黄】の光が飛び交い始めた。
「おお、我が主人に仕えようと他の連中も集って参ったようだ」
「西風!
貴殿ひとり狡いぞ!」
姿を現した真っ赤な髪の美丈夫は、見るからに気性が激しそうだ。
「俺は炎火の精霊王。
とんでもなく美味そうな魔素を感じてすっ飛んできた!
ぜひ俺とも契約して欲しい」
「狡い、狡い!
私が先に申し入れようと思っていたのに〜」
水色の髪をした女性……ではなく、女性に見える男、いわゆるおネェである。
彼が身悶えして主張している。
「俺も……」
やっとそれだけを絞り出すように話したのは黄土色の髪の少年だ。
この場に揃ったのは【西風の精霊王】【炎火の精霊王】【清水の精霊王】【黄土の精霊王】の4人だった。
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