第433話 たえとの再会
「でもみんなほんとよくやってくれた。
特に代田。あれはなかなか凄かったな。
やっぱり私も戦いたかったなあ」
「いやいや、なんとか最低限の仕事はできたかもしれませんが、
結構一杯一杯でしたよ」
「まあそういうことにしておこう。
だが、倒せばいいわけじゃないっていうことがわかっていた動きは、
とても素晴らしかったよ」
あの迫力の対決は確かに見事なものだった。
今のあの迫力は忘れられない。
「今度は私とも訓練しような」
「本当にお手柔らかにお願いします」
代田は心からそういったようだった。
「じゃあもう今日は上がっていいよ。
報告は大体受け取ってるし、
残りは今度でいいからな。
たえも寂しがってるから、
早く帰って顔を見せてあげなさい」
「わかりました。じゃあみんな今日はこれで解散ということで。
遼香さん、お土産は寮に置いておきますからね」
「なんかすごいたくさん荷物届いてたみたいだな。
楽しみにしてるよ」
「ふふふ。楽しみにしてください」
朱莉はそう言って不敵な笑みを浮かべた。
「私はちょっと遼香さんと話してから帰るから、
二人は先に帰ってていいよ」
緑箋と代田は一足早く鳳凰寮へと帰った。
鳳凰寮へ入ると、
代田は早速たえに呼びかけた。
「たえ、帰ったよ!」
たえはたたたたたっと走って玄関までやってきた。
「代田さん!おかえりなさい!
緑箋さんもおかえりなさい」
緑箋は少しだけ心に引っかかるところもあったが、
それは当たり前のことだと思い直した。
「ずいぶん家を空けてしまったけど、
大丈夫だったかい?」
「はい、遼香さんが毎日付き合ってくださいましたから。
とっても楽しかったんですよ」
「そうかそれはよかった」
遼香は出かける前にいった通り、
しっかり気にかけてくれたようだった。
というか本当は遼香も心配してくれていたのだろう。
遼香はそういうところの気配りも抜け目がない。
代田はそんなたえの笑顔を見て、心から安心したようだった。
代田は本当にたえのことが好きなんだろう。
「そうそう、荷物がたくさん届いていたんですけど……」
「ああ、そうなんだよ。
みんなでたくさんお土産買ったんだ。
たえに一人で留守番任せたから、みんなたえにって。
だからいっぱいあるから確認しよう」
「わあ!ありがとうございます!」
たえは満面の笑みを浮かべた。
緑箋は荷物を置いてから食堂にいった。
食堂には恐るべき量の箱が山積みになっていた。
「これ全部お土産だったんですね。
お土産もあるっていう話は聞いてましたけど、
何かと思ってたんです」
3人が手分けしてお土産を出して分けていると、
朱莉も戻ってきてくれた。
「うわあ。こうしてみるとものすごい量になっちゃったね」
一番買ったのは朱莉であるのだが。
「ほらたえちゃんにもいっぱいお土産買ったから。
これとか可愛くない?」
そういって買ったお土産をたくさんたえにみせると、
たえはめちゃめちゃ驚いて、
そして嬉しそうにしていた。
食材やお酒や飲み物などをみんなで片付けていると、
結局大仕事になってしまった。
夜は遼香も帰ってきて、
久しぶりに鳳凰寮でのみんな揃っての食事となった。
もちろん各地の地酒を楽しんで、
結局ここでも宴会のようになった。
だがみんな笑顔でこうしてここにいられたことに、
緑箋は心から安心した。
長い旅がひとまず終わった。
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