第234話 魔法軍総本部へ

「はい、つきましたよ」


緑箋と猫高橋はあっという間に寮から移動してきたようだ。


「転移魔法が使えるんですね」


「私はまだ限定的ですけどね。

ここは基本的には公開されていないので、

初めはこういった形でご案内することになっているんです」


猫高橋は結構自信ありげである。


「それで、ここは……」


緑箋が疑問を口にしようとしたところで、

猫高橋は慌てて説明し始める。


「あ、すみません。

ここは日本魔法軍総本部です」


大日本魔法軍総本部の門は、

厳かな雰囲気を放ちながら広大な敷地を見下ろしていた。

その門は高く、力強く、堅固だった。

門の両側には立派な柱がそびえ立ち、

その上には魔法軍の紋章が刻まれていた。

門ををくぐると、そこには広大な敷地が広がり、

美しい庭園や整然と配置された建物が、周囲に広がっていた。


「この先が本部になります」


庭の奥にそびえ立つ大日本魔法軍総本部の本館である。

和風建築の威厳ある建物は、

優美な屋根と彫刻が施された柱で飾られており、

遠くからでもその圧倒的な存在感を感じさせた。

本館の周囲には建物が立ち並び、

研究施設や訓練施設などもあるようだった。


本館に近づくにつれ、

その重厚な木造建築が圧倒的な迫力を持って迫ってくるようだった。

豪華な屋根は美しい瓦が光を反射して輝いており、

立派な飾り棟が風を受け、その彫刻が建物を神聖な力で守っているようだった。


外壁は漆喰で覆われ、その艶やかさが遠くからでも目を引く。

木彫りや金箔の装飾が施された柱や梁は、

建物全体に華やかな雰囲気を与え、

美しい庭園と調和していた。

正面の階段を登って本館に入る。


「どうぞ、こちらです」


内部には神々しさと力強さが溢れる広いホールが広がっていた。

華やかな装飾が施された壁や美しい和風の調度品に、

緑箋は心を奪われていた。

そしてその調度品の中で一際輝いている、一人の人物が待ち構えていた。


「やあ、緑箋君。

ようこそ魔法本部へ!」


「遼香さん、いや大将、わざわざありがとうございます。

申し訳ありません。こちらから伺いましたのに」


「ははは、緑箋君畏まる必要はない。

まあいくつか規則はもちろんあるが、

うちはそんなに厳しくない。

大将なんて呼ばなくてもいいから、

いつも通りで構わないよ」


「本当にそれで大丈夫なんですか?」


軍という規律厳しいところだとは思えない発言だった。


「まあ色々いう人もいるけれど、

そんなことはどうでもいいんだ。

そこに囚われているような人間はここにはいらないんだよ。

各自考えて行動することが、

最高の結果に結びつくように訓練するのがうちだからね」


ある意味一番難しい要望なのかもしれない。


「そもそも緑箋君は私の要望でここにきてもらったわけだから、

ある意味客人待遇みたいなもんだ。

もちろん特別扱いはしないけれど、

やっぱり特別なんだよ。

だから緑箋君に関しては全て私が責任を持つ。

はっきりいうが私はこのことに関して誰にも文句を言わせるつもりはないし、

多分文句を言う人間はいないと思うよ」


何の根拠があるのかわからないが、

相変わらずの強気である。


「まあ期待しておいてくれ」


緑箋はどう考えても嫌な予感しかしなかったが、

遼香はいつものように上機嫌である。






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