[録音開始]

「名前? あぁシチカイ。七つの貝で七貝村。俺が十五のときに無くなったんだよ。オヤジの兄貴が住んでたもんで、ガキのときはよく遊びに行った。あの村はおかしいぜ。あそこの女は中学生くらいのヤツからババァまで全員いつも妊娠してた。の割にはガキがいないんだ。そりゃ五人くらいはいた。けど少なくねぇか? 人口なんて、んなこと知らねぇよ。第一、毎年そこに行ってはいたけど、村の奴らは妙によそよそしかったし、オヤジにはクソみたいなこと言ってたんだぜ。裏切り者ー、とか早く死ねばいいのに、とかさ。そんな奴らのことなんて知りたいと思うか? ってか早く金くれよ。あんたが金くれるって言うからわざわざ話してやってんだけど。あ? 印象に残ってること? だから村の女が全員妊娠してたってことくらいだって。……他ァ? えーっと。オヤジとその弟と俺と三人で近くの用水に釣りに行ったときにさ。釣った魚がおかしいビッタビッタはねてやがんの。あーラリってるっていうの?そんな感じ。魚? 捨てたよ。気持ち悪いだろ? それよりも早く、金」

 [録音終了]

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