第2話 健太、師匠選び間違ってるぞ

よう、香緒里だ。


健太が生き方を決めた話の前に、アイツのキャラを言っておく。


基本、へらへらしてる。


私から見ると笑顔だ、え・が・お。

私は健太推しの女だから、主観が入ると美化しちまう。



だから、単なる同級生100人に聞きましたの世界。これは平均的な意見ね。


へらへらしてる健太は、自分のことで怒らない。


だけど幼馴染みのことでは変身する。


なんか二面性? 多重人格とも違うな。


スイッチのON状態がすげえんだ。好みが分かれるけどな。


私は断然、アリ。


初披露は、中2の秋だったな。次が中3の春。


起点は小4のときの、親友・翼との会話で間違いない。


体と心を救ってくれた幼馴染みへの恩返し。これを考えた健太は、翼に相談した。


けど翼は友達思い。

「親友助けただけだ。恩返しなんかいらねえ。馬鹿か!」


怒鳴ったね。


膝をついた健太を見た翼は、なんとなく自分が突き放したら、健太がおかしくなる。そう感じた。


とっさに、頭をフル回転させたさ。


翼は数年後、高校生になると文武両道の人気者になる。


その片鱗はあった。


ここでも言葉が健太に響きまくる。


けどよ・・。恋愛が絡むとポンコツになるとは、まだ誰も知らなんだ。


「・・それじゃ健太、さりげなく亜梨沙と亮子、大事な女2人を守ってやれよ」


「え、う、うん」


「やり方は俺に聞くな。俺の師匠・亜梨沙の兄ちゃんは、それが騎士道だって言ってた」


「騎士道?」


「女を命がけで守るんだ。そんで女からは、何もしてもらおうとか思わない」


「なんかカッコいいね」


「惚れさせてチューして欲しいとか、パンツ見たいとか、おっぱい触りたい。そんなスケベな気持ちもなしだぞ」


「翼は、亜梨沙や亮子のパンツ見たいの?」


「・・そこは忘れろ。2人に差をつけず、守った相手が無傷で笑顔なら勝ち。あとは俺じゃ無理。女心は、俺の姉ちゃんにでも聞け」


「分かった。さすが翼。ありがとう」



もし私が横にいたら、ハリセンで翼をはたいてる。


良かったのは最初だけた。


そもそも翼の師匠って亜梨沙の兄ちゃんだろ。中1、童貞、朴念仁だぞ。


騎士道ってなんだよ。要はゲームか漫画の一節。パクリだろーが。


そんなもん、人生のテーマみたく言うんじゃねえ!


漠然としすぎたろ。


けど案の定、健太は真に受けた。


文書くのと本読むの好きだったし、色々と読んで書いてた。


プラスして普段から女子2人の話、行動に集中するようになった。


ノリのいい亮子と冗談も言い合えるようになった。彼女が好きな音楽を覚えてた。


4人になると聞き役になりがちな亜梨沙の話も聞いて、好きなことをたくさん調べてた。


意外なのは、健太は過去の怨恨絡みの犯罪について調べてたんだな。



以後はしばらく穏やかだった。


最初、外から見たら翼んとこに亮子がいて、そこに亜梨沙が健太を連れていく感じ。


女2人には健太が子犬みたくくっついてた。


ちっと見ていったら、健太のとこに3人が行くようになったかな。


小学校高学年から中学って、男女一緒だと気恥ずかしい時期もあんでしょ。


奴らは短期間でその時期が終わって、そっからは女2人が健太を誘ってたな。


健太も女達と翼優先で、精神的に依存してるのはみえみえだった。



時は進んだ。

私が、アイツを欲しいと思った事件が起こった。



中学2年。亜梨沙にしつこく迫った先輩を健太が止めた。そんだら殴られた。


翼達が駆けつけて火は消えたけど、そこで初めてON状態の健太を見た。


次に中3のとき、亮子のために狂ってる部分も見せた。


中身はあとで、亜梨沙と亮子に聞け。



やがてアイツら4人は同じ高校に進んだ。何気に進学校だ。


私もギリで受かった。努力したよ。うちは、父ちゃんが特に喜んでくれたな。


私らが住むエリアの最寄り駅から2つ南に行った主要駅から歩いて10分。


相変わらず、4人は仲良しで電車通学してたよ。


私はボッチ通学か?


お、おい、私もダチいるからな。登場人物増やすと、ややこしくなるから出さないだけだ。


あと健太の、男との交遊関係の描写も9割省く。翼以外の男友達もいるぜ。


省く理由は、私が興味ねえから。てへっ。


高校は、勉強すればいいって自由な校風。ピアスと巨乳がメインの仲間。


あ、そもそも亜梨沙達とダチだよ。


健太にちっと聞くと、高校3年間で幼馴染みで恩人の3人に、返せるものは、みんな返したいって言ってた。


変わらず健気だよ。


ずっとは無理でも、あと3年間は大好きな3人と一緒に過ごせる。


3年間で、自分の道を探すって言ってた。


亜梨沙や亮子のこと聞くと、一貫してて、守るべき対象だとよ。


健太の前では隙だらけなのにな・・


凝り固まった健太のオリハルコンハートが、恋愛を拒絶してたね。


私をはじめ、隠れファンがいるっつーのに。


いや、私は隠れてねーか。




春に入学して、夏を過ぎ、2学期になった。


そこで健太の中の大事件発生だよ。


亮子に彼氏ができちまった。




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