第3話 スケルトン、治療する。

このクスリってヤバいねぇ・・・、摂取量の許容範囲が全然無いわ。


まさか、本当に一摘み分で十分とはねぇ…だから、ここまで薬効が強いから、あの袋一つで生涯年収分の価値になる訳だ、なるほどねぇ~理解した。


『カリッシュ』と同じ量から始め、嫌がる盗賊共に強引に摂取させたが、オーバードーズのひどい事・・・雄叫び上げながら意味不明の行動している奴がいる。


アイツなんだろうねぇ・・・何もない所に怒鳴り声をあげている、額に青筋を立てながら。


おい、嫌な事を忘れてハッピーになるんでなかったのか? 


酷い奴になると、のたうち回って血が混じった泡をふくわ、痙攣しながら糞尿もらすわで酷いぞ!


どう見たってだろ!


状態異常緩和の魔法を使ってみたが、全然効果が無い。


しかも、ヒールも万能では無い様で、回復した瞬間、クスリの毒で直ぐに瀕死になるし…この検証方法は失敗、この手の検証は、十分に準備しないと駄目だな。


っていうか、治療や検証が忙しい! 気を抜いたらすぐ瀕死になるからヒール唱え続けながら成分の分析やら治療法を探っているのだが・・・いかんせん、人数が多すぎた。


魔法を複数使うのって非常にしんどいわ・・・魔力は十分が有るのに精神力がゴリゴリ削れる。


一つ一つの魔法は簡単なのに、複数同時に発動させると爆発的に難易度が上昇する・・・一人一人重症度が違うから魔力調整も面倒臭い!


いっそうの事、皆殺しにして埋めるか? バレんだろう・・・多分。


『いやいや、安易な方に逃げるのは無いわ・・・諦めるのはまだ早いぞ!俺!・・・やればできる! あきらめんなよ!俺! ・・・挫折したら負けだ!俺!』 


よし、気合入った! 埋めるのは最終手段だ・・・まだやれる事はある、諦めるにはまだ早い。



とにかく、ポイズンキュアの魔法にも種類が有ってどれが効果あるのか分からん・・・と言うより、一度も使う機会が無かったからなぁ。


とりあえず、活性炭を錬金して飲ますか・・・その後、ボディーブローか何かぶちかまして吐かそう。


方針を決めたナッシュは、直ぐに近くの木から錬金術で活性炭を生成した・・・。


流石に、万能な錬金術でも物が無い事にはどうしようもないが、ちょうど森の中で材料はいくらでもある。


「いやいや、原料に困らんから良かった・・・面倒臭い事はさっさと終わらすに限る」と言いながらと盗賊共と闇商人を見た。


おぅ・・・よだれ、鼻水塗れの顔が・・・う~ん・・・触りたくない・・・原因を作った俺が言うのもなんだが。


仕方ないか・・・やらん事にはどうしようも無い。


「盗賊と闇商人の皆さん・・・お薬の時間ですよぉ~」と言いながら無理やり活性炭入りの水を強引に飲ませる。


「う、うごっ!お・・おぉぉ・・・おぶぅ!あぉ・・」と涙流しなが悶絶しているのを無視して流し込む。


「おら!大人しくしろ!ジタバタするんしゃねぇ!」とか「大丈夫・・大丈夫・・・苦しくない、苦しくない…!」など言いながら、ようやく全員飲ませる事が出来た。


とりあえず、飲ます事は成功したが、やっぱりボディーブローで吐かすのもなぁ・・・心は痛まないが、拳が汚れるのはやっぱり嫌だ・・・出来るだけ避けたい。


相手を吐かせるだけの魔法って有ったっけ?


・・・そう言えば、言霊ことだまと言う呪いがあったなぁ、久しぶりに使ってみるか。


魔力などを乗せて言霊を発動「さあ、吐け!全て吐け!!吐くものが無くなるまで吐き続けるのだ!!!」と言ってみた。


そうすると、盗賊や闇商人は、吐き始めた。


よしよしよし・・・効いてきた! 言葉を理解する奴にはこれが一番良いかもな・・・ダンジョンでよく使ってたからなぁ・・・やっぱ使い慣れたやり方が一番だ。


「おぇぇぇぇ!村でぇぇぇ!ぶらおっぉ、ぉぉおぇぇ!!ほ、ほうかぁ、ぁぁあ、おっ、おっおっ・・・おぇぇぇぇ!」


ん? なんか、違った方向にも作用し始めている様だが・・・。


徐々に他の盗賊共が、過去に行った犯罪の供述をし始めている。


あれ?吐くは吐くでもそっちの方ではないのだが・・・まあいい、記録して町の門番に出せば少しは金になるだろう。


そう思い、自供し始めた盗賊に近づいた。


そして聞き耳を立てようとした瞬間、隣の盗賊がゲロ吹いた!しかも勢いよく!


そして、そのゲロが霧状になってスケルトンの体を激しく濡らしていく・・・絶叫するスケルトン。


「ああああああああ!!!!!ゲロが!!ゲロがぁぁぁぁ!!!」


くそぉぉぉぉ!!よこしまな考えをするべきでなかったぁ!!!


身体は生暖かい黒いゲロが塗れ・・・物凄い勢いでストレスが溜まっていく。


慌ててクリーンの聖魔法で身体を洗浄した・・・流石にゲロ塗れは堪えられない、こう見えてもだぞ、俺は・・・。



想定外な出来事が多発し、さらに精神力がゴリゴリ削れるナッシュ・・・ストレスで魔法の維持が、もうそろそろ限界近付く。


もう、嫌になった! やっぱり、皆殺しにして埋めるか? その方が世のため人の為だろう・・・多分。


そして、叫びながら黄金バットで周囲の岩や木々に八つ当たりする・・・もちろん、八つ当たりした所は粉々だ!


「あああああああ!!!!!面倒臭い!面倒臭い!面倒臭い!面倒臭い!面倒臭い!面倒臭い!面倒臭い!・・・はぁ、はぁ、はぁ、よし、お金の為に頑張ろう、泣き言はそれからだ。」


そう、今の俺は金が無い、そして、あいつらは金の生る木だ・・・多分。


頑張って治療し、自白調書を作成して門番に渡せば銭になる、それまでの辛抱だ! ・・・頑張ろう。



しかし、彼は肝心な事を忘れていた。


普通、モンスターは討伐対象であり、それに討伐報酬がけられている。


そして、自分が「スケルトン」と言うモンスターになっている事を・・・。


当然、門番との戦闘にならない理由が見当たらない。


さて、どうなるやら・・・。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る