辺境のスケルトン
髙田知幸
第1話 スケルトン、ダンジョン出る。
ナッシュは、ダンジョンマスターが消滅した後に残った装備を装着している・・・が、これが中々の曲者だった。
頭にきて、蹴り飛ばした扉がダンジョンマスターに当たり、あっさり死んでしまったのは拍子抜けだったが、戦闘があっさり終わったことは良い事だ。
しかし、どんだけ黄金が好きなのか・・・リッチが座っていた椅子や床、王冠、バット、ローブの内側まで黄金色なのだ・・・出来るだけ多く持ち帰れば一財産だが、どんだけ長く戦ってきたか検討つかない距離をどうやって持ち帰る? 普通に無理だろ! 仕方が無い、必要な物だけ持って帰るか・・・。
普通のリッチなら、大抵、杖を持っているか、
スケルトンになったとしても、ナッシュは好き好んで真っ裸になる趣味は無いが、流石に黄金色のフル装備は恥ずかしい・・・しかし、その物以上に性能が良い装備が無いので仕方が無い。
「呪いのアイテムではないと思うが・・・流石に、これは無いだろう・・・」と思わず
まぁ・・・無いよりマシと思って装着している・・・お家に帰るまでがミッションだ、仕方が無い、町に戻ったら売却しようと思う。
そんなこんなで、ついにナッシュは地上に帰ってきた・・・神々しい朝日が照り、洞窟の入り口を照らしている。
おぉ!太陽光だ!草だ!木だ!匂いは・・・スケルトンだから感じない、でも気にしない!!
「おっしゃぁぁぁ!!!!!!やったぜ!!!!ついに地上だ!!!クハハハハァ・・・ん?」
・・・あれ?道が無い?
町まで道があったはずだが・・・道が無い。
本当に道が無い・・・ダンジョンに入った時にはあったはずだが?
・・・こんな所に木があったっけ?
ダンジョンの裏口から出ちまったのか?
見覚えあるものは・・・やはり無い、いくら見ても森の中、その事実だけは揺るがない。
・・・やべぇ、ここどこか分かんねぇ。
「まあ、ダンジョンマスター討伐したし、これ以上悪化する事は無い、のんびり帰るか」
おぉ!木苺だ!生還後の初食事に木苺・・・いいねぇ。
取って、食べた、味しない・・・。
まぁ・・・スケルトンだしなぁ・・・そう言えば、スケルトンって日中出たっけ?
今のところダメージは無い様だが?
おぉ!高級な薬草がそこいらじゅうに生えている!!!
摘んで帰って金にしよう、
「クリエイトマジック!かご作成!」と叫ぶナッシュ・・・別に声に出さなくても作れるのだが、テンション高いナッシュは叫ばずにはいられない。
「おしゃぁ!かご出来た!こんだけあるのだから、ついでにポーションも作るか!!!錬金合成!!!!!」
そして、刈り取った薬草1kg気合入れて作ったハイポーション5本とEXマナエーテル5本が出来上がり、それらをかごに入れて出発することにした。
・・・よし、行き先を棒倒しで決めるか。
懐から黄金バットを取り出し立ててみた。
・・・
・・・倒れない。
絶妙なバランスなのか中々倒れない・・・。
「なんだろねぇ・・・地下に進むのはもうやらんぞ」
コテッ・・・。
「おぉ、こっちか、よし行くか!」
進もうとすると、先で聞きなれない戦闘音がする。
「見た目がこんなのだから行きたくないのだが、ダンジョン出たばかりで戦闘は切ない・・・」
諦めてバットが倒れた方向に行くと、小さな道があり、小汚い盗賊と強面の顔の商人らしき者が魔道銃で撃ち合いをしている。
初めて見る武器だ、発射して100mぐらいの標的に到達するのが1~2秒ぐらいか・・・中々早いな、弓より若干早いが、威力は普通の弓の方が強いな。
武器の質は商人の方が良いようだが、数は5倍の25人相手に武器の火力は足りない様だな。
多勢に無勢か・・・武器は商人の方が良いが、かなり押されている。
仕方が無い、助けに行くか・・・。
盗賊の後方側の道に降り、シールドの魔法を展開、バットを構えてから大声を上げた。
「クハハハハハ!!!このゴミども!!!この俺が相手になってやる!!!かかってこいや!!!」
盗賊と商人はナッシュの姿を見て・・・固まった。
そりゃそうなるわ・・・ダンジョン入る前の俺でもそうなるわ。
そして盗賊や商人たちがコソコソと話し出す・・・何話してんのかね?
そして、「野郎ども、なんか知らないがあのスケルトン、銭になりそうだ!やっつけちまえ!!!」と叫び攻撃し始めた・・・商人も参加して。
魔道銃は火の魔力で攻撃しているので、対魔抵抗が有り過ぎるナッシュの体には全然届かない。
でも、中々攻撃を止めない盗賊と商人。
・・・なんか酷くねぇ、なんで商人まで俺に攻撃してくるんだよ!お前らもゴミか?
「もういい・・・お前らにはガッカリだ!まとめて洗浄してくれるわ!!!ホーリーレイ!!!!」
周りが漆黒の暗闇に包まれたと思った瞬間、盗賊と商人はとてつもなく眩い光に包まれた!!
「目が!!!体が熱い!!!熱い!!!うあぁ!!あっ!あぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」と悶絶する盗賊と商人たち。
余りの光量に、目は失明し、身体は火傷、服などからは煙が上がっている・・・。
こいつらには、お仕置きが必要の様だ・・・覚悟しろ!!!
とりあえず、俺は全員ボコボコにして縛り上げる事にした。
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