千花と黒い影
幻中ゆうき
プロローグ
空想をすることは好きですか。
室内にいるのであれば窓の外を、外出しているのであれば周りの風景を見てみましょう。そこには何かしらの物語があるように私は思うのです。
私は今、窓から外を見ています。
その前に窓に反射して映っているのは、コーヒーのような茶色の胸元あたりまである髪に朱色のまんまるな瞳。ブレザーに赤いリボンをつけた学生です。つまり私です。
見上げれば空があり、様々な形の雲があります。その雲はどんな風に見えますか。アイスクリームのようにくるくると巻いているでしょうか。大きなドラゴンが羽ばたいているでしょうか。小さな雲の群れが空を泳いでいるかもしれません。
私の見ている空には魔女が被っている帽子のような雲があります。空を飛んでいて落としてしまったのかもしれませんね。
続いて視線を下へと戻します。人や犬、猫が歩いています。どんなことを考えていて、どこに向かっているのでしょう。少しの仕草や表情から読み取れることはありますか。
それに気づいたら、もう想像が膨らんで止まりません。空想の世界は無限大です。
もしかしたら、私も誰かの空想に登場しているかもしれません。
一つの場面から一体どれほどの壮大なストーリーが生まれてくるのでしょう。少しだけ気になります。
「……ちか、おーい千花。聞こえてる?」
想像の世界はとても楽しいですが、そろそろ現実に戻らないといけません。私たちは現実で生きているのですから。
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