(別名義、別作品でライトノベル新人賞最終選考落選歴あり)異世界に飛ばされたから、未開拓の場所ばかりの市場を開拓して、世界一金持ちな勇者になる方法

牛馬走

第1話

   第1章


 これから、私がここに書き記す“記録”が誰かの助けとならんことを願う――。


   1


 太陽が大地に落ちてきてしまったのかと錯覚してしまいそうになる熱い土地、それが暗黒大陸(アフリカ)だ。

「ふははははは、明日から世界は私の物だ!」

 だが、そんなものは覇業の前ではなんの障害にもならない。

 情熱を燃やす私の前では、摂氏数十度の熱さもビジネスオフィスの、エアコンの効いた部屋と変わらないのだ! ついでにアイスクリームをつけてやる、持ってけ泥棒ッ。

 大量の汗でポロシャツとタクティカルパンツをびっしょりと濡らしながら、ひとり思索をめぐらせる。

「……社長の脳は怪しい電波受信機能をそなえているとは思ってましたけど、今日はついにNASA並の出力を突破ですか?」

 む、とうなって私は横に目を向けた。

 未舗装の市街地を通る道路の上に立つ部下、ルイーゼが射撃用眼鏡(バリスティック・グラス)の奥から半眼でこちらを見やっている。彼女は、ウェーブのかかった短めの黒髪に同色の切れ長の目、すっと通った鼻梁をそなえた、ハリウッド映画の主演を張れそうな容貌の持ちぬしだ。アフリカ某所の小国の一角が、映画の舞台に見えてくる。

 長身で手足も長い――そして、組まれた腕の中では、こぶりのメロンを思わせるEカップの双丘が窮屈そうにしていた。

 あの窮屈な場所から、救出してやるべきだろうか?

 メカニックシャツにタクティカルパンツという服装で、機能美を追求した外見をしたHK416を銃口を斜め下に向けて吊り紐(スリング)で肩につるした彼女を見すえながら、私は真剣に考えた――おそらくは、この地球上に存在した数々の哲人、ソクラテスやプラトン、キルケゴールすらもかなわないほどに。

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