石像

Grisly

石像

ある公園には、5体の石像が並んでいる。

そのうち4体には、名前が刻まれているが、

1体だけ名前のない石像が。


これはなんという人なのだろう。

近所の人々は首をかしげる。




その昔、村に貢献した偉人達を讃えて、

お金を出し合い、石像を作ることに。

腕の良い彫刻家が選ばれ、4体を製作。


石像の造りが良かったため、

村のシンボルになり、4人は一躍有名に。

皆ありがたがり、供え物をする人や、

崇拝して、本にまとめる人まで出て来た。


しかし、彫刻家は面白くない。

確かに4人の功績は本物だが、

私の腕があってこそ、

有名になれたというもの。


私が石像を作らなければ、

歴史の波に埋もれていたのだ。

こんなものを作れる私こそ石像になるべきだ


ついに自費で石像を彫刻し、

同じところへ並べてしまった。




まぁ、今となっては、

5人とも記録に残らず、忘れ去られてしまい、

ただ造りの良くて、芸術的な

5体の石像が並んでいるのみ。

大した違いはないのだ。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

石像 Grisly @grisly

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ