「魔空」

 しかしだがしかし。彼女のツノは高く禍々しく、趣味の悪いゲーミングチェアにあったなりをしている。

 女の子と見初めれば、一瞬きに怪物となる。ますます、豪華な建物に住む理由が分からなくなってくる。

「確かお前はラブリエル。久しい気がするな」

「違う方で呼んでいただきたい。実際久しいよ、最後に会ったの五年前だもの」

「ああそうか」

 まるで人間の様な会話であるから、つい私は打ち砕いて話した。そしてつい事態にひびをつけてしまった。

「魔王……様、可愛いですね!!」

「あぁ?」

「おいおい」

 ラヴェルは黙し、魔王は怒り始める。人間の様な雰囲気でもなくなってしまった。

「どいつこいつも俺をナメるんだな……ラヴェルは良い。同じ聖職に就いているんだ。しかし人間、お前は違うだろ」

 座中の魔王がこちらをにらみつける。私はまるで爬虫類の様に、ひたすらカーテンにしがみついていた。

「ご、ごめん」

「出ていけや」

 放たれた言葉に従って体が動いていく。当の本人は動きたくもないのに。

「ごめん。良く言葉も分からずに君に接したよね」

「ああ無礼だ。カスだ」

 直後、人間カオルの体は一握の灰と化した。

「あっ」

「あぁ……まぁ、消えたのは人間だから良いだろ」

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