「階」

灰色の陽が照り付ける きざはしを登れ君に会う為に

斜めの段を飛び越える 遠く歩いた距離は振り返るな

乾いた夢を抱きながら 確かめよそれは君への邂逅と

屈した恋心を持ち歩く 泣く泣く踏みにじったものは見るな


空想Bの意図はふかく こう熱に焼けた部屋に住む

殺めて平静の橋下を  蹲り姿の見えぬ君の

遠来Dの糸はふとく  沿う鉄で込められた家に着く

枝垂れて窓辺の側溝を 嘲り背には茨つく君の


僅か僅かの岸に咳く  君の命は有数と

今から僕の足を重ねて 数えて君への行く幅を

窶れ窶れの本に染む  時は始点で待ち立つと

夜から狭まる暗を経て 調べて僕の足幅を


五本柱の主は緑    見合わぬ僕と君として

濡れぬ柵 溶けぬ愛  直列に好意は筋通し

三本柱の副は路考   異物や塵埃友として

囀る人 呟く鳥    並列に敵意は貫通し


奔る機関の乗せ物へ  鞄持ちの僕が行けるものか

腕伝いのシャツの皺で 覆う幼き人間よ

生きる君の寄せ書へ  僕の言葉が容れられるものか

金伝いの友情の舟で  埋める寂しさの人間よ


融点唯一ゼロの街   僕を満たすは遍く降る誇り

ネーム飾る親と親   売れるように張られた値札とし

瘋癲堕落ネガの都市  空を悼むは軽く請う声明

テープ録る県と県   責めるように曲げた背を佳とし


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