青空の花束(ショートショート集)
緑がふぇ茂りゅ
「曇り空」
あれよあれよと人が増えていく街、僕は人波を一直線に突き進んでいた。他人が避けたり避けなかったりした。
夕方にしては暗い空で、学校帰りの僕の心には相応しくならなかった。空にしたペットボトルを持ちながら歩く帰路、ふと前を見て、三つ編みの女の子が店に入るのを目撃してしまった。
運良くと設定し、僕は文房具とあの子を探しに店に入った。
旧友と何度も、数欠けたシャー芯を買いに行った日々を思い起こした。どの日もこの灰色の壁を見た記憶がある。
この胸には旧友が生きているが、本人はもう生きていない。いや生きているが、友人としては生きていないだろう。
いずれ女友達やらと会えなくなる定めが待つ、かもしれないあの娘は今鮮やかな色ベンを買っていた。見えた。
微妙に飽きて反対を振り向いてしまった僕が次に見たのは、まっすぐな目線先にある太陽だった。それも雲に隠れているような、いないような。
振り向くと、マジックの様にあの子は消えてしまった。もう一度太陽を振り向くと、まだそいつはいた。こいつはこいつで綺麗である。
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