　アイリス

　・・・・のアイリス。

　電子音が消えて、

　どこからともなく声が聞こえた。

　異世界に行く前の真っ白な場所だった。

―　貴女が転移することで

　　異世界の扉が完全に開く。

　　貴女の転移する異世界は魔界のように、美しい場所。

　　ずっと貴女を呼びたかった、幼少型と少女型を持つ子。　

　　導きの聖女　―

　月明かりに似た声？

　―　　幼少型は貴女の分霊であり、悪魔。

　　　　少女型は貴女の本体であり、天使。普段は聖女としていなさい。

　　　　貴女の使命はこの世界を守ること　―

　呼びかけは光となって、私を照らしていた。

　両手を伸ばす。

「私はアイリス。優しい魔族の王に仕えるの。そのために、たくさん削っちゃった。新しいものを得るために捨ててきたの・・・」

　光が包み込む。

「だから、その条件を受け入れられる可能性は・・・・」

　―　魔女の祈りを、叶えるときが来た。

　　　時は満ちた。

　　　悪魔と天使が召喚される。

　　　契約を条件に転移する。アイリス　　―　

「え・・・魔女？」

　光は手のひらくらいの歪な塊になり、胸の中に入っていった。

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