桜と影、曇天が笑う四重奏
永遠 水月🚰🌙*゚
第1話・桜咲く曇天の出会い。
中編小説として箸休めで書きますー。
松岡〇優、柄〇佑、林〇都、中〇太賀が出演している
とあるドラマのとある人のキャラに感化されました。
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桜が舞う季節。俺は君に恋をした。そして、貴方にも恋をした。
きっかけは些細だ。どこにでもある普通の何の変哲もないきっかけ。理由などない。単純にいつの間にか君から目を離せなくなった。君のことを考える時間が日を追う事に増え、どんな時でも君を目で追ってしまう。そんなきっかけにすらならないきっかけだった。
きっかけは些細だ。ある日貴方に出会った。仲良く話してた時に唐突に貴方に出会った。その日から僕は貴方から目を離せなくなった。心が苦しくなり、貴方を守りたいと思った。そんな感覚でしかない。そんなきっかけだった。
今、目の前には君と貴方がいる。全く同じ表情をして、君と貴方は不安そうに俺を見つめる。
そんな彼女の前で俺はーーーーーー。。。
===入学式の日===
今日はあいにくの雨だ。めでたい日のはずなのに何とも不安になるような天気。
何かが起こりそう。それも楽しい日々の幕開けとしてではなく、なにか冷たく、
悲しくそれでいて嫌なことがだ。
窓から見える景色も、家の前を歩く人々も、このボロアパートのさびれた廊下も
まるで色が世界から消えたように灰色一色だ。
ただ、それはきっと天気が悪いからというだけではないだろう。
俺の、鰐淵白夜(わにぶち はくや)自身の心からも色がなくなってしまったのかもしれない。
それに、今までも何回も何百回もこういう風に考えてきた。
俺が中学入学してすぐ、親父が蒸発した。それから女手一つで兄と俺を育ててくれていた。そこからしばらくして兄が暴走族に入り、問題を起こしてしょっ引かれた。
年少から帰ってきてからしばらくはなりを潜めていたが、薬物を服用しバイクで暴走した挙句自ら崖に突っ込んで死んだ。それが高校二年生。
それからすぐ心を病んだ母親に根性焼きなどの暴行、人格否定、人権否定、バイト代パクられパチンコで全部擦られたりなどいわゆる虐待が始まった。
時々男をとっかえひっかえしては家に連れてきてその男も一緒に虐待に参加していた。
ひどい時は、どこからか持ってきた角材でぶん殴られたりすることもあった。
そして去年の冬、つまり高3の冬。母が無理した反動か、体調を崩し、そのまま眠るように息を引き取った。
葬式の日、母親の兄、叔父が俺を引き取ったが、長らく独り身の叔父は俺にどう接すればいいのかわからなかったのか、元々海外出張が多かったからか、大学に入学するのと同時に、俺用にアパートを一部屋借りて食費以外は払うからあとは好きにしろと言って海外に渡航してしまった。
今も家賃等は払われているが、心配のためバイト代をコツコツためていつ支払いが滞ってもいいようにやりくりしている。
そういう日々を送っていたせいか、いつの間にか何かを成し遂げたいから、あるいは何かをしたいから、日々を生きる。ではなく、何もできないから、何していいかわからないから、惰性で日々を送るようになった。
今日も今日とて、俺の心情を強く表している空だ。
「いつも通り退屈だ。」
いつも通りに独り言をはいて、温いベッドからゾンビのようにだるそうに起き上がる。
生気の抜けたような顔には似合わない小綺麗なスーツを身にまとい、鏡の前でここ数年動いていない表情筋を見ながら髪を整え大学へ向かう。
ボロアパートではあるが、独身サラリーマンが暮らすアパートみたいな感じなのでぼろすぎるほどではない、ちょいボロアパートから大学までは歩いて行けるほどなので歩いて学校の入学式会場に向かう。
道中、つなぎの上半身だけを脱いで腰元で結び、ロンTの上にスカジャンを着た女性に出会った。こんなにも雨が降っているのに傘すらささずに公園に突っ立っている。しかし、目が離せなかった。
それは彼女が美人だからではない。いつからか、俺の心が壊れてしまってから浮かべている表情と同じような、それでいてさらに暗い闇を背負っているような絶望と寂しさ、悲しさ、暗い感情をごちゃまぜにして無理やり平静を装った風に成型した仮面をつけているみたいな顔だった。
「あんた、そんな顔でこんな天気で傘もささず何してるんだ?」
俺は思わず、彼女に近づき相手の頭の上に傘を差しながら問いかけてしまった。
すると一転彼女は粗暴な口調で
「なんでもねーよ。なんかそういう気分だっただけ、あんたは仁井大学の新入生か?
だったら早くいかねーと入学式間に合わねーぞ」
と言った。驚くべきことにその表情は先ほどまでと全く違った、晴れやかな顔だった。
「申し訳ありません。ありがとうございます。
あそこの大学に詳しいってことは先輩ですか?」
第一声がため口だったために急いで敬語に戻す。すると彼女は気持ちのいい笑い声で笑った。
「あはっはっは!今更いいよ敬語なんて、最初にため口使われて先輩と分かり次第
敬語つかわれても気持ち悪いだけだしな!あんた、名前は?」
「わかった。それじゃ、ため口で生かしてもらうわ。俺の名前は、鰐淵。
鰐淵 白夜(わにぶち はくや)。先輩は?」
「それは、向かいながら話そうぜ。そろそろ本格的に遅刻すんぞ。」
荒い口調でそう言って、そそくさ歩き出す先輩の後をついて俺も歩きだす。
しばらくして、先輩が言った。
「あたしの名前は、星那(せな)」
「苗字は?初対面でいきなり先輩名前呼びは常識的にだめだと思うが?」
「うるさい。あたしは苗字の響きが嫌いなんだ。あたしがいいって言ってんだから、
あんたも星那でいい。」
そう言ってまた、スタスタと歩いて行っている先輩を追いかけた。
===運命===
ガコン。。。こうして2人の、そして、これから出会う人の運命の歯車が回り出す。それは幸か不幸か彼らの抱える心の闇に向き合うきっかけとなる最初の1歩であった。
一人は心に闇を抱え、怯えるもの
一人は心に闇を抱え、投影するもの
一人は心に闇を抱え、壊れるもの
一人は心に闇を抱え、増えるもの
どう向き合い、どう助け合い、どう生きていくのか。それは彼らにしか分からない。
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ちょいと重めな恋愛小説です。
これの箸休めとして、執事のほうを読んでもよし、逆もまた然りです。
感想等々お待ちしております。
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