第7話 桃の花が咲く季節は出会い(7)

だから私も、自身の顔と心を桃色に染める行為をやめ。


麗しい桃の精霊様につられるように天空を見上げ。


風に吹かれ、昇り。


そして舞い落ちる花弁の様子を窺い堪能するから。


私の口も自然とまた開いて。


「えぇ、本当ですよね」と。


私は感無量になりつつ、彼に言葉を返した。


「君は初めてここ、この河川敷公園で桃の花を見るのかな?」


「はい。初めて……と言うか? 両親の運転する車の中から何度か、桃の花を見たことはありますが。自身の足……。自転車で、この公園を走行させんながら桃の花が、満開に咲く様子を見るのは初めてです」


「そうなんだ?」


「はい。そうです」と。


 私は神さま、仏さまのように麗しい。


 年上の少年との会話……。


 世間話と言う奴を。


 この後も仲良く続けたのだった。




 ◇◇◇

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る