第3話 桃の花が咲く季節は出会い(3)

「うぅん、いいよ。いいよ。別に気にしないで、君~」


 でも彼は、天界から舞い降りた桃の花の精霊様のような優しい人だから。


 緊張の余り。


 自身の頭をペコペコと慌て下げる私へと彼は、優しく微笑みながら。


 自身の首を振り、気にするなと告げ。


「君も、この、桃の木々達を見て綺麗、麗しいと思いながら見惚れ、呆然としていたのでしょう? だから僕と君とはお互いさまだから気にしなくていいよ~」


 貴方は本当に男の子なのですか? と。


 異性の私が思ってしまうほど。


 少年は美しく、大人の女性のように優しく告げてくれた。


 だから私は天からの降臨された、梅の精霊様のような彼へと。


「ありがとうございます」と、お礼を告げ。


 私自身もこの河川公園内に咲く。


 満開に咲いた桃の木の並木と花……。


 そう桃の花弁が完全に桃色へと色づき、咲いて。


 満開になっている様子を。


 自身の顔を上げ──見上げるように見詰めながら。


 桃の花達の様子を窺い。


「本当に花が綺麗……」


 私がまた独り言を呟けば。


 彼も私同様……。


 感無量になり、桃の木の、花の美しさに、仲良く見惚れ、見詰めている訳だから。


「うん、そうですね」


 美しい彼も、私に続くように言葉を漏らす。



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