第9話 休日出勤は(泣)
誠さんとは毎日でも会いたいところだけど流石にふたりとも社会人。毎日のお仕事は休めないし、日々の残業時間だって読めやしない。
「それにわたしゃまだ3年目のぺーぺーだからね……」
わたしの後輩はいまだ入らず。営業推進係などと言っているが単なる営業職の雑用係だったりする。
次の年度には一人くらい配属されるんじゃないかっていうのが課長の目論見みたいだけど。
一方の誠さんは総務部経理課にお勤め。
しっかり者の誠さんらしい職種だと思う。
落ち着いているからもう少し年上かと思ったけど、わたしより二つだけ年が上だった。
月末の今はとても忙しいらしく、早く家に帰りたいとお嘆きのご様子。年度末に比べれば大したことはないって言うけれど、聞いた感じとてもお疲れの様子だったからわたしが癒やしてあげたいな、なんてことも思ったりしたりする。
この前は『また連絡するね』なんて言ったけど、実はほぼ毎日連絡は取り合っている。
さすがに自分でも浮かれ過ぎじゃないかと思っているけれど、文字だけでは飽き足らず、電話をしてみたり、時間があればビデオ通話までしてみたりしている。あまりにも度が過ぎると重たい女になってしまいそう。でも、そこは誠さんの深いふかい懐がわたしを包んでくれるので問題なし、と思いたい。
実際に誠さんの方からも連絡はよくくれるので、わたしの一方通行でないことは確か。そこは安心材料だったりする。
「ただね……」
わたしはこの関係を進めていきたいと思っているけど、向こうがわたしのことをどう思っているかが良くわからない。深い懐と広い心の博愛主義者だったりしたら、わたしも大勢の中の一人にしか見られないなんてことも考えられなくもない。
「ま、今度の日曜日にも会うからね。追々確かめていけばいいかな」
本当は土曜日に会いたかった。遅くまで一緒にいられるし、もしかしたらワンチャンお泊りだって可能かもしれない。
月末の押し迫ったところでスケジュール的に彼は休日出勤必至とのことなので諦めたけど。
急いては事を仕損じるとも、慌てるなんとかは貰いが少ないなんてことも言うじゃない?
慌ててせっかくのチャンスをふいにするのは最大の失敗でしかないからね。
「まずは一歩一歩誠さんとの距離を縮めていくのが先決だよね」
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